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コルベ・マリー阿部哲朗の告白録(6)

【 問題行動の数々…(1)】

 約20年前、愛知県で会社勤めをしていたんだけど、会社の夏休みのとき、「秋田の聖母」のご出現地へ行こうと思ったんだ。車でね、「秋田の湯沢」へね。はじめての車での長距離旅行だ。

 ぼくは、ものごころついたときから、すでに対人恐怖症なんだ。だから、人との接触は絶対避けようとするんだね。名古屋から秋田へは、たしか長野・新潟ルートを使ったから片道約900キロ。

 人と接触したくないから、妙高高原で初めての車中泊。坂道で、からだがななめになって、一番は、山の中だから、こわくて、ほとんど寝れなかった。夜明けとともに、早々に出発。完全に寝不足だ。

 人と接触したくないから、ガソリンは、ガス欠寸前になってから、しぶしぶスタンドで給油。店員さんが「いらっしゃいませ~!」なんて、でっかい声でよってくるから、内心、大パニック状態さ! ほんと、できることなら、アクセル全開で緊急脱出したいんだけど、おろおろしながら、店員さんの誘導にしたがう。

 「おーっらい、おーっらい!」「いらっしゃいませっ! □□へようこそっ!」 うっ、うぁ~! たのむから、あっちいってくれ!

 「れ、れ、れ、レギュラーまんたん、っげっ、げんきんで……(大汗)」って、やっとこさ言うと、「まどガラスはどうしますかっ?」 「あっ、あぅう~、おっ、おねがいします」って、ほんとはいやなんだけど……。なんでいやかって、目のまえでガラスふかれると、視線をどこへやっていいもんやら、死にそうに緊張するんだ。

 ずっとがまんしてるから、トイレに行きたいんだけど、かたまっちまって、いけない(泣)。あぁっ、はやくおわってくれ~。もう、お金用意して、必死に我慢する。

 やっと、給油終わって、あと少しで解放されると思ってたら、「お客さん、タンクの水抜きの時期がきてるんですけどっ(営業スマイル!)」 うっ、うるせぇっ! このやろう! って思いながらも、「あっ、いいですぅ~」と、ひきつった笑顔でかろうじて答える。

 やっと給油が終わって、おつりもらって、脱出の瞬間がまたいやなんだ。はやく脱出したいんだけど、おつりを財布に入れるのにまごまごする。その間、店員さんは営業スマイルで、気をつけして、こっち見て立っている。大パニック状態の頂点だ。さっさと、店へ引っ込んでくれ!って思うけど、実際そうされると、見放されたみたいでみじめだし……、とにかくしょうがないから、助手席におつり放り出して、ひきつった笑顔で店員さんにあいさつして、ガソリンスタンドを一秒でもはやく後にしようとする。

 はやく脱出しようとして、なんど他の車にぶつかりそうになったり、あさっての方向に出て行ったりしたことか……。バックミラーにうつる、店員さんの唖然とした顔。ガソリンスタンドが見えなくなってから、路肩に車を止めて、助手席に散乱したおつりを財布にいれる。

 そして今度は、ひたすら立ちションできる、山の中の茂みをさがす。山の中はしっているときはいいんだけど、町の中はひたすら我慢だね。今どきは「道の駅」って便利なものがあるけど、昔はドライブイン、おみやげ屋さんしかないから、人の目が気になって、どうしても入れない。

 難行苦行のあげく、ぼくは二日目の午後3時ごろ、秋田県湯沢市についた。秋田市湯沢台ではない。秋田県湯沢市だ。「秋田の聖母」をさがして、いったりきたりした。

 それらしきものはない。ここは、秋田美人で有名なところだ。みんな、女のひとは美人で、男のひとはハンサムだ。ぼくは、生まれついての対人恐怖症だ。真っ赤になって、よけいたずねることなんかできない。

 いま住んでいる秋田県湯沢市の、古い酒蔵の建物は、いまでもよく覚えているよ。3回くらいその近辺をさまよった。やっぱり、「秋田の聖母」はにゃい!

 夕暮れの雄物川の川岸で、とほうにくれた。たぶん、うろおぼえだけど、山形県新庄市と秋田県横手市のあいだを、「秋田の聖母」をさがして、3往復くらいした。

 人と接触したくないから、旅館に泊まろうなんて考えはうかばない。たぶん、夜11時ころ、湯沢市の三関のあたりの、雄物川の西側の田んぼのわきに車をとめて、仮眠することにした。でも2時間もしないうちに、こころぼそくなって、涙目になって(うるうる)、秋田市の方へむかった。深夜の秋田市を通りすぎて、「おれはいったい何やってんだろう」って思いながら、Uターンした。

 どの道を通ったか、もう覚えていないけど、三日目の昼ごろに新潟市に到達した。もう3日間ほとんど寝てないから、どっかの住宅街の道端に車をとめて、ちょっとだけ仮眠。またひたすら走りつづける。そして、四日目の早朝、愛知県東海市の会社の寮にたどりついて、夏休みの残り3日間(くらい?)、ひたすら寝ていた。

 結局ぼくは、いまにいたるまで、秋田市湯沢台には行ったことがない。あっはっはっ(笑)

 でも、いま住んでいる、秋田県湯沢市の「寺沢」が本命になったから、まあいいか。っていうか、これって、神ちゃまのユーモアだよね。ぼくが決めたんじゃありません。

 ぼくって、すごく変なやつでしょ? でも、神ちゃまは、こんなぼくでも、神ちゃまのお仕事に使ってくれるんだ。神ちゃまは、ほんとうにやさしいんだね。


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