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「33年」(38)勝利の宴(その1)

「33年」(38)勝利の宴(その1)
二人とも泣いている。

林の親分
「大将と女大将の大勝利だから、兵たち全員で祝わなきゃな。」

カタリナにだきつかれ、だきしめられたままシストが両手を天の方へ高々とあげる。

シスト
「ああ、神さまありがとう。マリアママありがとう。みんなありがとう。」

シストは集まってくれた男たちの方へ目をやる。

シスト
「高麗が、救われたなんて、夢じゃないだろうか。ぼくは、喜びで自分が死んでしまわないのが不思議なくらいにうれしい。これは、ひとえにマリアママのおかげなんだ。ある日、マリアママはカタリナに、そしてカタリナを通してぼくに、マリアママは全ての人、一人ひとりの本当の母で、どんな悪人でもけっして一人も見捨てないってさとらしてくれたんだ。そして、二人に敵をゆるし、愛し、祝福し、彼らの魂の救いを心から願い求める心をくださったんだ。ぼくたち、二人とも自分ひとりではそれができなかった。ただただマリアママの助けでできたことだから、みんなの前で告白する。ぼくたち、二人とも何のてがらもたててないし、勝利も得ていない。マリアママが、たたえられ、愛されますように。」

カタリナがシストに話す。

カタリナ
「シスト、私もうれしくって、夢を見ているここちがするわ。私たちを天国からルドビコ茨木とパウロ茨木とレオン烏丸が、たくさん助けてくれたわよね。三人にも本当に感謝よね。三人は、天国で大よろこびよね。」

宴は、はじまった。林のおかみは、ルイス坊やのために魚の骨をはずして、身を口に運んでやったり、母親のように世話をしてくれている。シストのもとには、100人以上の男たちが一人ひとり、全員、次々にやってきて、高麗が侵略から救われたことを祝ってくれた。

彼らは全員キリシタンつち親で、シストが会ったことのないキリシタンつち親は、シストが教えたつち親とほり子のうち、その時、つち親として洗礼を受けたものを一代目とすると、ほり子として洗礼を受けて、あとでつち親を襲名したのが二代目だ。この二代目のキリシタンつち親が、他の鉱山に出て行って育てあげた三代目のキリシタンつち親なのだ。

ねずみ算式にふやすというシストの戦略はうまくいっており、もう三代目のキリシタンつち親が生まれているということが、宴の間にシストに分かってきた。しかも、現時点で100人以上にキリシタンつち親は、なっており、皆、地下教会の広がりをめざしてくれており、キリシタンつち親がいない鉱山へと、どんどん出ていってくれており、今や約100ヶ所にキリシタンつち親がいるという、鉱山の地下教会の成長ぶりが分かってきた。

六左衛門と林の親分のシストに対する熱い熱い友情が実現させたこの祝宴は、はからずももうひとつの大勝利、地下教会の予想外の急発展の姿をあらわに見せてくれるものになった。シストは、彼ら一人ひとりに心からお礼を言う。「こんなぼくたちのために、わざわざ集まってくれてありがとう。ぼくたちの祖国の勝利のために、こんな祝宴をはってくれてありがとう。みんなのおかげで、ぼくたちの喜びは百倍になったよ。」と。

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2008年9月20日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

http://lphakobune.web.fc2.com/33nen_038.html


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