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「33年」(37)祖国がすくわれた(その2)

「33年」(37)祖国がすくわれた(その2)
林の親分
「六左衛門、はじめろ。」

六左衛門
「みんなー。よく聞けー。」

全員
「おーーー。」

六左衛門が大声で叫ぶ、皆が大声で答える。

六左衛門
「おれたちの大将と女大将は、イエズス親分の命令どおり、悪に対して悪を返さず、善をもって悪に打ちかったぞー。」

六左衛門が、にぎった右手のこぶしをつきあげる。立ちあがっている男たち全員が「うおーーー。」と長くさけんでこぶしをつきあげて答える。ルイス坊やもまねして同じことをやっている。

次は、林の親分が、どら声をはりあげる。

林の親分
「おれたちの大将と女大将は、イエズス親分の命令どおり、敵を憎まず、敵を愛して、自分たちの祖国を救ったぞー。」

林の親分も右手のこぶしをつきあげる。全員が「うおー。」と答えてこぶしをつきあげ、喜びを全身で表現する。皆の声の調子の祝いとよろこびのムードにのせられて、ルイス坊やも大よろこびして「おーーー。」と叫んで、手をぐるぐるとふりまわしている。

シスト
「自分たちの祖国を救ったって。」

シストは、立ち上がって、六左衛門と林の親分にむかいあい、二人の肩に手をおいた。

シスト
「今、祖国が救われたって言ったのかい、もしかして。」

二人は強くうなずき、六左衛門がくわしく説明する。

六左衛門
「秀吉は、6月の終わりに赤痢にかかった。8月5日に病状は悪化して絶望的になった。9月16日の朝、未明に秀吉は死んだ。その後、極秘のうちに高麗に総退去を侵略軍に命じる使者が送られた。今、高麗では、実際に侵略軍が占領地を放棄して総退去をしている。神は、秀吉に突然の病死をもたらし、それによって高麗を救ってくださったんだ。」

三人は今、輪になって肩をくんでいる。むこうでは、林のおかみがカタリナにくわしく教えてくれているようだ。カタリナが「キャーツ」と叫んでいる。カタリナが立ち上がって、シストがめがけて手をひろげて近よる。シストとカタリナが今、だきあう。

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2008年9月20日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

http://lphakobune.web.fc2.com/33nen_037.html


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