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今日の「あかね」と「やよい」♪

今日の「あかね」と「やよい」♪
まだ着陸していないよ♪

 マリアママ、ガブリエルちゃん、アンナリアちゃん、アレンドゥスちゃん、よろぴくね♪

着陸したら、みんなに知らせるよ〜♪

【 取材etcの連絡先 】
  〒012‐0106
  秋田県湯沢市三梨町字清水小屋14
  リトル・ペブルの「清水小屋」共同体
  ジャン・マリー杉浦洋 神父
  Father Jean-Marie of the Risen Son of God
  TEL/FAX: 0183−42−2762
  Eメール:charbeljapan@nifty.ne.jp
  URL : http://homepage1.nifty.com/charbeljapan/


「33年」(32)感謝の説教

「33年」(32)感謝の説教
石見銀山に帰ってからも、皆の思いは、強烈に殉教者たちにひきよせられたままだ。銀山中に、シストとカタリナと、林の親分とおかみが、殉教者たちに会ってきた話しをしてきた、と知れわたり、皆がその話しを聞きたがる。本物のなかの本物、神に次いで最も崇高な存在に出会った衝撃からさめやらないまま、シストたちは皆にこわれるままに話し、思い出しては泣く。彼らの話しは、改心したばかりのつち親、ほり子、やま師たちの信仰を固め、熱心の炎をますます燃えたたせて、はかりしれない影響を及ぼす。

 3人の男の子たちの話を聞いて泣かぬものはおらず、特にすばらしい模範となっている。そんな小さな子どもたちは、いったいどうやって最期をとげたのだろう。知りたいものだ。皆が、同じのぞみを抱いている。そして、六左衛門が、とうとうそれを知らせにやってきてくれた。12才のルドビコ茨木と13才のアントニオは、一緒に神をほめたたえる歌をうたいつつ、やりのほさきを胸に受けた。

 パウロ三木は、「自分は最も弱いものだから、まっさきにこのように死なしてくださる、その神に感謝する。」と最期に、感謝の説教を十字架上で行なったと、六左衛門が目撃談を語ってくれた。彼らは、本当に感謝しながら、賛美しながら、大喜びで死んだのだ。

 これを六左衛門から聞いた時、シストもカタリナも、林の親分もおかみも、まったく不思議な体験をした。何と、心に賛美と感謝が突然、もうれつに湧きあがってきたのだ。

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2008年9月20日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

http://lphakobune.web.fc2.com/33nen_032.html


メールマガジン「箱舟の聖母」

メールマガジン「箱舟の聖母」
バックナンバーNo.348〜350 を公開しました。

http://homepage1.nifty.com/charbeljapan/hakobune_index.html#bn2


「33年」(31)日本人ほどあわれな国民はいない

「33年」(31)日本人ほどあわれな国民はいない
パウロ茨木
「愛する兄弟。高麗から連行されてきたなら、ひどいめにあったでしょう。つらいめにあったでしょう。でも、憎しみではなく愛ですよ。うらみではなく、ゆるしですよ。怒りではなく、柔和ですよ。さばきやのろいではなく、祝福と祈りですよ。」

シストとカタリナは、うなづきながら聞いている。言葉を耳と心にきざみつけようと必死になって、そして姿と顔を目に焼きつけようと見つめている。あふれでる涙にじゃまされながらも、人間は不条理で残酷な強烈な体験によって、まっぷたつに分かれる。無理やり選ばされるといってもよい。憎むか、愛するか。うらむか、ゆるすか。怒るか、柔和にふるまうか。さばき、のろうか、祝福し、祈るか。中間のない両極へと分かれていくのだ。シストとカタリナ、林の親分とおかみ、そして六左衛門にとって、まさに今、神からの問いかけがなされている。そして、殉教者たちの姿は、その言葉よりもはるかに強く、愛とゆるしと柔和と祝福と祈りを選ぶことを呼びかけてくるのだ。

パウロ茨木(いばらぎ)の弟のレオン烏丸(からすまる)は、日本人のライ病者の世話に身をささげてきた説教師だ。今、彼は、高麗の言葉での最後の説教を、シストとカタリナにしてあげようと口を開く。

レオン烏丸
「愛する兄弟。同じ祖国を愛し、同じ神を愛する兄弟よ、神との一致を目指しなさい。それは、あわれな人間ほど、なおさらあわれむということです。私は、イスパニアのパードレや修道士と、この国のライ病者の世話をして、よくわかりました。日本人ほど、魂がくらやみにとざされているあわれな国民はいないと。
 日本人は、みんながやるからやる。みんなが、やらないからやらない。このような生き方に、がんじがらめにしばられています。目の前に、どれほどかわいそうなライ病患者が苦しんでいても、みんながほっとくからほっとく、みんなが逃げるから逃げる。そうして良心も痛まない、かわいそうな国民です。
 正しいことを正しいからという理由で行う。正しくないことを正しくないからという理由で行わない。もしこの国民にこれができるなら、私達の祖国を侵略することもなく、自分の同国民を、ライ病者だからといって、のたれ死にするままにほっておくこともないでしょうに。
 神は、私たちをあわれんで下さいました。こうして、キリシタンになれたのですから。最もあわれな目にあった私たちを、神があわれんで下さったのですから、その神とともに、魂において最もあわれなこの国の人々をあわれみましょう。愛する兄弟、これが、私たち三人のあなたたちへの遺言です。さよなら、天国であいましょう。」

とうとうカタリナが泣きくずれてしまった。しゃがみこんだお母さんが、全身をふるわせておえつして泣くので、ルイスぼうやも、ワンワンと泣き出す。シストは、片手でルイスぼうやをだきあげ、片手でカタリナの背中をさする。六左衛門と林の親分とおかみが、シストたちを見つけてやってきて、皆そろった時、全員が泣きはらした目をしていた。六左衛門は、殉教者たちの最期をみとどけるために、長崎に向かい、あとの皆は、石見銀山への帰途についた。

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2008年9月20日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

http://lphakobune.web.fc2.com/33nen_031.html


「33年」(30)おじさん。おばさん。なかないで。

「33年」(30)おじさん。おばさん。なかないで。
シストとカタリナの心は、たちまち、うめきはじめた。カタリナは、こみあげてくるおえつに口に片手をあてる。なぐさめと、はげましの言葉なんて何も頭にうかんでこない。泣きながらシストが声をしぼりだす。

シスト
「ぼくたちも高麗から連行されてきたんだよ。ぼくたちもキリシタンなんだよ。」

カタリナは、泣きくずれそうになってきた。

カタリナ
「ぼうや。神様。助けて……」

ルドビコが、むじゃきに明るく答える。

ルドビコ
「おじさん。おばさん。泣かないで。ぼくは、もうすぐ神様に会えるんだから。しあわせなんだよ。ぼくたち十字架につけられて、両がわから槍でつきさされて殺されるんだって。ぼくは、神様をほめたたえながら死ぬってきめているの。」

パウロ茨木
「それと、神に感謝しながら、だね。」

父親らしくパウロ茨木が口をはさむ。

ルドビコ
「うん。神様にありがとうをくりかえしながらね。」

パウロ茨木
「そうだよ。神に賛美と感謝をささげつつ槍を受けるんだよ。」

パウロ茨木は、よろこびを満面にたたえて息子と話している。かわいい声で息子が答える。ニコニコしながらうれしそうに。

ルドビコ
「大丈夫だよ、お父さん。だって、ぼく、頭の中で何度もなんども練習してるんだもん。」

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2008年9月20日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

http://lphakobune.web.fc2.com/33nen_030.html


「33年」(29)ルドビコ茨木に会う

「33年」(29)ルドビコ茨木に会う
シストとカタリナとルイス坊や。六左衛門と林の親分とおかみは間にあった。1月19日、彼らは、尾道で殉教者たちに会えたのだ。真冬なのに一重の着物。そして、はだしである。はだしの足は、はれあがり出血している。着物は大量の血によごれている。左耳がそがれて、そこからの出血だ。

六左衛門は、イエズス会の三人の仲間にかけよっていく。パウロ三木、ヨハネ五島、ディエゴ喜斎だ。子どもが3人で歩いている。

一番ちっちゃい子にシストとカタリナが、高麗の言葉で呼びかける。ルドビコ茨木だ。ルドビコが、うれしそうに呼ぶ。

ルドビコ 
「お父さん、おじさん、高麗の人たちだよ。」

林の親分は、中国人の男の子、アントニオが、呼びかけた中国語に答えたので、その子と話しはじめている。この区間は、さいわいなことに役人の頭が、話しをするのを見のがしてくれている。

ルドビコに呼ばれて、彼の父のパウロ茨木とおじのレオ烏丸が高麗の言葉で答える。たちどまることはできない。

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2008年6月4日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

http://lphakobune.web.fc2.com/33nen_029.html


「33年」(28)26聖人のこと

「33年」(28)26聖人のこと
1597年になった。六左衛門がやってきた。いつもと様子がちがう。何かあったらしい。精錬部門で、指導中のシストのところまでやってきて、シストを呼ぶ。

六左衛門 
「シスト。一大事だ。京で、パードレや修道士や信者が24人つかまって、長崎ではりつけにされるために今、瀬戸内海にそって歩かされている。君の国の人が3人いるんだ。君たちのあとから、高麗から連行されてきたんだよ。今から尾道に向かえば、間に合って彼らに会える。カタリナは、林の親分のところへ行かせたから、そこへすぐに行こう。24人の中には、中国人が、お父さんの男の子が一人いるんだ。」

シストは、これを聞いた瞬間、頭に血がのぼるような感じがした。同朋が、しかも同じように連行されて、つれてこられたキリシタンが殉教しようとしているのだ。すぐ弟子たちにあとをまかせて、六左衛門といっしょに林の親分の家へ向かった。

林の親分は、林のおかみが呼びに行っている。親分の家につくと、3才のルイスをだいてカタリナが待っていた。カタリナは、シストを見ると泣き出してしまった。六左衛門が、ちっちゃいルイスをすぐにだきとり、シストが何も言わずにカタリナをハッグする。二人とも何を言っていいのかわからない。

シスト 
「大丈夫かい。」

カタリナ
「シスト。シスト。シスト・・・。ひどい・・・。」

シスト 
「ひどい。本当にひどい。」

二人には同じ連行の体験がある。家族も、友も、祖国も、奪われた悲しみがよみがえる。もしかして今、殺されようとしている3人は、祖国で家族や友を殺されたかもしれない。彼らも、死の恐怖を味わったかもしれない。少なくとも荒廃した祖国と、多くの同朋の死をまのあたりにしている。そして、なわめのはずかしめと連行の旅の苦しみをなめている。そして、最後には異国の地でひきまわし、はりつけ、ごうもんを受けるのだ。この3人が、他の殉教者たちとは、まったくちがう5年間をすごしてきたことが、シストとカタリナにはわかるのだ。だから会いたい。会ってたった一言でもはげましの言葉をかけたい。祖国、高麗の言葉で。

林の親分とおかみがはいってきた。親分は、ルイス坊やをだいている六左衛門に、がなる。

林の親分 
「中国人がいるのか。男の子なのか。」

びっくりしたルイス坊やが、泣きだしたので、今度は、林のおかみが六左衛門からだきとる。

六左衛門 
「うん。男の子が3人いて、一人が、お父さんが中国人でお母さんが日本人。もう一人が高麗人。あと一人が日本人だ。」

カタリナが、悲鳴をあげた。

カタリナ 
「えー。高麗の3人のうち一人は、男の子なの。」

六左衛門 
「そうだよ。3人のうち、一番ちっちゃい子が、高麗人だそうだ。」

林の親分 
「おまえ、すぐ仕たくにとっかかれ。冬の山ごえだ。おれは、馬を手配してくらあ。」

大わらわの旅仕たくがはじまった。時間のゆとりは無い。

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2008年6月3日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

http://lphakobune.web.fc2.com/33nen_028.html


「33年」(27)祖国のために

「33年」(27)祖国のために
石見銀山の外でのうれしい誤算というのは、シストのつくった高麗式の炉の大成功によってはじまった。精錬部門の人々は「すごい。」と言葉を失った。そして、すごい、すごい、といううわさは、鉱山中にたちまち広まった。

毛利氏の役人が、そのすごさに狂喜した。そして、シストを他の鉱山にも高麗式の炉をつくらせ指導させるために、次から次へと毛利氏支配の鉱山に派遣することにきめた。

もちろん大がかりな炉の建設には、長期の滞在が必要だ。そして、手伝いのための精錬部門の弟子たちを伴わなければならない。

シストは、派遣されるたびに、弟子たちの中に同宿や伝道士を混ぜて伴った。まるで、キリシタンの教理の集中講義に行くようなものだ。日中は、炉をつくり、指導し、夜は例のシスト塾だ。シストの大車輪の活躍が続けられ、高麗式の炉もキリシタンの教えも毛利氏支配の他鉱山にどんどん広まっていった。そして、そこでも大将として、指揮官として、日本国中の鉱山をネットワークする地下教会を完成させるための戦略を、新しくキリシタンになったつち親や、やま師、ほり子たちにさずけていった。

シストの、最初の計画は、小規模で長い時間を要しての地下教会づくりであったが、まるで高麗式炉のように大規模高能率で地下教会づくりがすすんでいったのだ。しかも何の妨害もうけず、やりたいほうだいできた。

シストは若い。1594年、24才で日本の鉱山での地下教会づくりをはじめた彼は、25才、26才、と昼は精錬の、夜はキリシタンの教えの指導を続ける。

体力の限界をこえて働きつづける彼は、意志の強固な力によって自分の体をささえているのだ。その彼の意志力をささえているのは、六左衛門がくるたびにもたらしてくれる祖国、高麗の情報だ。

六左衛門は、キリシタン武士たちからも、連行されてくる高麗人捕虜たちからも、両方から情報を得てきて、シストの家でシストとカタリナに話してくれるのだ。

シストとカタリナの頭と心にはいつも祖国が生きている。じゅうりんされている祖国とともに二人はいつも苦しんでいるのだ。六左衛門がもたらしてくれるのは、高麗の庶民や農民が、義兵となって秀吉の侵略軍に対して抵抗しているありさまだ。

シスト 
「ああ、ぼくの祖国。ああ、ぼくの高麗。戦い続けているんだ。戦い続けてくれ。勝ってくれ。」

シストもカタリナも胸がしめつけられるように苦しくなる。毎回毎回、聞くたびにそうなる。そして、「ぼくも戦いつづけよう」と祖国の敵、神の国の敵、秀吉に対して、祖国と共に、祖国の義兵とともに戦っている意識を強めて、体にむちうって、明日からもますます働こうと決意を固める。

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2008年5月26日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

http://lphakobune.web.fc2.com/33nen_027.html


「33年」(26)スケールアップ

「33年」(26)スケールアップ
 石見銀山の中心的つち親の、林太郎右衛門(はやしたろううえもん)と、その一家が全員そろってキリシタンになったという話しは、たちまち知れわたり、はかりしれない影響をみなに、特に、つち親たちに及ぼした。
 どこへ行っても、よるとさわるとこの話しだ。林一家の皆も、自分の新たなよろこび、希望、生きがいについて黙ってなんていられない。
 真理や、救いをさがしていたものは皆、彼らの話しによろこんで、そしてまじめに耳をかたむけた。石見銀山全体に、キリシタンへの改心の波がおしよせた。世間では禁教令がしかれているが、ここではそんなのまったくおかまいなしだ。
 しかも世間では仏教の、または、神道の親類縁者、特に、父母兄弟が反対したりもする。しかし、ここのならずものたちは、そういうしがらみを、ここにくる以前からまったく断ち切っている。

 誰にも遠慮がなかった、ならずものたちだ。悪をなしているときも同様に、善をなすときも遠慮はない。また、彼らに干渉する関係者などここにいない。つち親でさえ、彼らがキリシタンになろうがいっこうにかまいやしないし、逆に自分がキリシタンになるときには、堀子全員にキリシタンになるよう命じてしまう。
 こうして一家あげての改心が、他のつち親のもとで連鎖反応のように次から次へと起こったのだ。シストは、今や大将のような存在だ。 
 他の一家にも林一家同様に教え、キリシタン地下教会を国中の鉱山に広げる戦略をさずけ、実行させる指揮官だ。

 六左衛門も、ひんぱんに、石見銀山を訪れ、教え、洗礼をさずけた。こうして、林一家だけで、スタートというシナリオは、多くのつち親と、その一家と合同でスタートということに、スケールアップしてしまったのだ。すなわち、キリシタンのつち親が、計画の何十倍ものスピードで誕生していきだしたのだ。もちろん、多くのやま師もキリシタンになっていった。

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2008年5月26日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

http://lphakobune.web.fc2.com/33nen_026.html


「33年」(25)かためのさかずき

「33年」(25)かためのさかずき
 たしかに歴史は繰り返す。イエズスが福音を宣教した30数年後、キリスト教徒はローマ皇帝ネロによる大迫害にあった。わずかの男女からはじまった教会は、たった30数年でローマ皇帝をおそれさせるほどの数の信徒数に増えたのだ。

これと同じことが日本中の鉱山で、ならずものたちの世界でこれから起きるのだ。たった30年後、新しく第3代の将軍として徳川家光が就任し、日本中の鉱山への大迫害をはじめて実施した時、各藩はつち親とやま師のうち、はなはだ大勢の者がキリシタンであることに驚がくした。つち親や、やま師には、何年もの修行をつまなければなれない。特につち親は、鉱山でのあらゆる部門のあらゆる仕事のことがわかっていなければなれないのだ。それだけでは無い。子分であるつち子の面倒を見、まとめあげる力量と人格をも必要とする。つまり即席では絶対になれない。そういう彼らの大多数がキリシタンであることが調べによりわかった時、迫害者たちは何がどうしてこうなったのかさっぱり理解できず、うろたえるばかりであった。

プロ中のプロの彼ら、つち親ややま師がいなくなっては鉱山がなりたたない。院内銀山でもその時、国家老が江戸家老へ「院内銀山のキリシタンを残らずほばくしたら、山がすたれる」と報告している。しかし、キリスト教会の歴史はじまって以来の前代未聞の側面も、またある。

 日本の鉱山は、治外法権である。誰が国を支配し、どんな政治をし、どんな法律をつくろうが関係ない。自分たちの掟で自分たちで治めている。鉱山奉行とか上の役人たちが、支配する藩が変わったためにいれかわろうが、ただそれだけのことである。下に影響はない。

 つまり、日本の中に他の国があるようなものだ。ただし、その国はならずものの国といえる。そのならずものたちの間に、わずか30年の間に、爆発的にイエズスの教えが広まり、彼らが命を捨てるほどこの教えに忠実な本当の信仰者になったということは、前代未聞の出来事だ。

 また、そのならずもののキリシタンたちが後年、品行方正なキリシタンたちが迫害をのがれて逃げこむための受け皿をつくりあげたこと、これもまた、前代未聞のできごとだ。

 シストとカタリナがもたらした火が、なぜ、ならずものたちに、たやすく点火し、いきおいよく燃えさかり、そして急速に燃え広がったかは、林の親分とつち子達の思いがそれを良く説明する。

 彼らの思いは、すなわちすべてのつち親とすべてのつち子たち、共通の思いだからだ。つまり、イエズスは、彼らにとって、みりょくをたたえた神、そして親分であり、イエズスの教えは彼らのこの世とらい世の唯一の希望になったからなのだ。

 神が、ならずものたちをこれほど大規模に、そして重要な使命に用いる、こういうことが歴史上他にあっただろうか。

 いよいよ今日は、林一家全員に六左衛門が洗礼を授ける日だ。司祭でない六左衛門が行う洗礼は、水をひたいに3度かけながらラテン語で「誰それ、我、父と子と聖霊とのみ名によって、なんじを洗う。」というだけだが、男性にはシストが代父、女性にはカタリナが代母にならなければならない。そして、全員一人ひとりに、洗礼名が必要だ。六左衛門は、男女の人数分の紙に一枚ずつ、違う名前を書いてトランプのばばぬきのように皆にひかせることにした。すると、林の親分には、「ヨアキム」が、そして林のおかみには「マリア」が当たった。

 皆に洗礼名が決まって、いよいよ洗礼式だ。林の親分が、これでやってくれ、ともってきたのは、子分が親分のもとにわらじをぬいだ時、親分とかわす『かためのさかずき』のためのさかずきだ。これで、子分たちはみな、林の親分と親分、子分のちぎりを結んだのだ。そして、大きなひょうたん。水がいっぱい、いれられている。このひょうたんから水をさかずきに注ぎ、それでもって洗礼をさずけてくれというのだ。

 何とかわった洗礼式。でも笑ってはいけない。林の親分は生涯で最も厳しゅくな時と心得、今まで見たこともない真剣でいかめしい顔をしている。たぶん武士が切腹する時、こんな顔になるのだろうなと、それを見つめながら六左衛門は思っている。だから六左衛門も同じような顔でそのさかずきとひょうたんを受け取る。

林の親分が、林一家の全員に向かって大声をあげる。

林の親分 
「てめえら、いいか。今から受ける洗礼を、イエズス親分との『かためのさかずき』をかわすと思って死ぬ気で受けろい。わかったか。」

皆    
「おーーー。」

 こうして、彼らは、ありったけの決意と真剣さで洗礼をうけた。この林の親分のすばらしい思いつき、つまり、親分、子分の『かためのさかずき』の、さかずきと水を入れたひょうたんを用いての洗礼式は、今後、鉱山でつち親とつち子たちの一家あげての改心と洗礼の場合、六左衛門が常に用いる方式となった。

 林の親分が熟練の優秀な堀子を、特訓して一人づつ、一年に一人づつでもつち親にし、襲名(しゅうめい)させ・・・こうして年数をかければという計算は、石見銀山の中と、外で大いに狂った。しかも、うれしい誤算という形でだ。

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2008年5月23日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

http://lphakobune.web.fc2.com/33nen_025.html


なぜ今、聖母マリア様が 再び秋田にご出現されているのか?

なぜ今、聖母マリア様が 再び秋田にご出現されているのか?
 ミシェル・マリー・フランソワ奥田力は、「寺沢」(秋田県湯沢市)で聖母マリア様を見ました。彼は同性愛者で、16年間もゲイの夫婦生活をおくったことのある、罪人の中の罪人です。

「寺沢」は秋田県湯沢市の南にあります。聖母マリア様は「すべての恵みの仲介者、あがないの共贖者(きょうしょくしゃ)」のタイトルでご出現されました。

 それに加えて、韓国人の殉教者シストとカタリナ夫妻が「寺沢」に今ご出現されて、韓国の人々に向けてメッセージを与えておられます。この二人は1592年、豊臣秀吉によって韓国から日本に拉致され、1624年に「寺沢」で殉教しました。ミシェル・マリー・フランソワ奥田力は、この二人の直系の子孫で、彼は二人の英雄的な生涯を誰かに映画化してほしく、いま映画のシナリオを書いているところです。

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「33年」(24)イエズスっていう親分

「33年」(24)イエズスっていう親分
 翌日、六左衛門が、先生として教える2日目のシスト塾が終わり、昨日のように酒がでると、六左衛門は林の親分に鉱山の制度やつち親制度や他の鉱山とのつながりなどなど、たくさんの質問をしまくった。シストの言ったとおりだった。ということは、すなわち林一家に洗礼をさずけ協力してもらえば、時間さえかければ、日本中の鉱山をネットワークする地下教会が本当にできるということだ。

六左衛門 
「シスト、林の親分に昨日の話をしてくれないか。」

シスト  
「よし。わかった。林の親分、ぼくの計画を聞いて欲しいんだけど。」

林の親分 
「何だい。何だい。遠慮なく話せよ。」

 シストは昨日のように、そして今晩は林の親分からさらに詳しくいろいろ確認できたので、もっと確信にみちて、しかも熱くなって自分の計画を全部話した。その話の熱烈さに林のおかみもカタリナも引き込まれ、酒をつぐのも、さかなをだすのも忘れてすわりこんで、いっしょに聞きどおしたほどだった。

話しを聞き終わった林の親分が目に手をもっていく。なんと意外なことに林の親分が泣いた。なぜ、泣くのか、皆がわからず、しばらく全員沈黙してしまう。やっと林の親分が、口を開く。開口一番、

林の親分 
「ありがてえ。ありがたくって涙がでたのよ。おれの口にしねえ悲しみはよ、かわいい堀子たちが、この世にも、あの世にも希望をもてねえまんまに死んでゆくってことよ。
 あいつら坑道に入りつづけりゃ、あんな若くてぴんぴんしているやつらでも、あと数年の命だぜ。数十年じゃねえ。数年だぜ。つち親になりゃー坑道に入らねーから、もっと長生きできる。結婚すれば自分の子どもを育てるってえこともできらあ。あいつら世間には戻れねえ。堀子を続けりゃー数年でおだぶつだ。金もうけても残してやる子もいねえ。この世に何の希望も持てねーから、ばちあたりな生活をつづけて、遊女と酒とばくちでみんなすっちまうし、極楽往生の望みもねー。
 シスト先生の言うとおりやりゃー、神様にご奉仕できるってことだろう。そうすりゃ、神様が天国に入れて下さるよな。この世にもあの世にもあいつらに希望が生まれるって思うとよ、うれしくって泣けてきたよ。」

 林の親分の気持ちを良く知っている林のおかみもこの話に泣き出した。カタリナももらい泣きしている。シストと六左衛門は、林の親分がこれほど子分のことを思いやっているその愛に感動し、目頭が熱くなっている。なんといい親分だろう。

 さて翌日。六左衛門の教理説明の第3日目。いよいよ林一家の全員にシストの計画が伝えられた。若いならずものたちの顔が希望に輝きだした。あとをとって林の親分が大演説をした。

林の親分 
「親分のためなら、命すら惜しんじゃいけねー。このイエズスっていう親分には、なおさらだ。どこの世界に、子分のために子分の罪を背負って、はりつけになって下さる親分がいるってんだい。こんないい親分には、どこまでもおつかえして当然だ。しかも、この親分は、ご自分につかえた子分を天国に入れて下さるっていうんだぜ。親分からして、命を俺達のために捨てて下さったんだ。こんな親分には俺達もよろこんで命を捨てようーじゃねーか。てめえら わかったか。」

林一家が全員立ち上がる。すごいときの声を上げる。
「えい、えい、おー。えい、えい、おー。」

 六左衛門もシストも、ぶったまげてそれを見ている。彼らは、どうみても、大喜びだし、ほんとにやる気だ。自分のむなしい人生が突然、価値ある人生にできる道が開かれたのだ。若いバイタリティーで、その道を突進しようとふるいたった堀子たちのときの声に、とうとう偉大なことがはじまったと、シストも六左衛門も感じた。六左衛門がシストの耳と口をよせて話す。

六左衛門 
「シスト、実はローマ時代の迫害の時も、洗礼準備中の人と洗礼を受けて間もない人が一番良く働いたんだよ。君とカタリナは、洗礼を受けて間もない人だし、林一家は洗礼準備中の人だ。歴史は繰り返すね。」

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2008年5月23日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

http://lphakobune.web.fc2.com/33nen_024.html


「33年」(22)六左衛門

「33年」(22)六左衛門
 えつにいっている林の親分。林のおかみとカタリナは大喜び。新しい名前よりもカタリナは「六左衛門」がすごく気に入ってしまった。

カタリナ
「ねえ、いち、に、さん、し、ご、ろくのろくざえもんなの。」

ルイス  
「そうだよ。いち、に、さん、し、ご、ろくざえもん。」

カタリナ 
「わあ。おもしろい。ねえ。わたし、これからルイスのこと、ろくざえもんって呼んでいい。」

ルイス  
「ああ、いいとも。そんなに、ろくざえもんが気にいったのかい。」

カタリナ 
「うん。何か、口の中でさいころが転がっているかんじ。」

みんな
「えー。」

みんな絶句。そして爆笑。

六左衛門 
「さいころの六左衛門か。いいよ。ここでは、ぼくはろくざえもんだ。林一家の掘子の六左衛門。ひとよんで、さいころのろくざえもん。」

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2008年5月21日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

http://lphakobune.web.fc2.com/33nen_022.html


「33年」(21)新しい名前

「33年」(21)新しい名前
 その晩、とうとうシストとルイスと林の親分、この3人の男がそろった。これから、31年後に、一緒に首をはねられて殉教する3人の男たちだ。「林一家のシスト塾」の先生になったルイスが思ったとおり、林一家はそろいもそろってならずものの集まりだった。

教えの説明がおわり、林の親分の家から掘子たちが帰ったあとだ。林のおかみは酒を出している。カタリナも手伝っている。赤ちゃんルイスは、カタリナの背で可愛くねむっている。

林の親分
「ルイスさんは商人なのかい。」

ルイス   
「いえ。ぼくは同宿。パードレたちや修道士たちの手伝いだよ。」 

林の親分  
「へー。じゃ、商人の家の出かい。」

ルイス   
「ちがうよ。武士の家の出だよ。」

林の親分  
「ほー。うまく化けるもんだねー。そうやって化けなきゃ外を歩けねーのかい。」

ルイス   
「そうなんだ。」

林の親分  
「ふーん。おたずねものってことかい。武士の出だったら、もとの名前があるんだろう。何て名だい。もちろん世間ではだしちゃいけねー名前だろうがよ。」

ルイス   
「大町六左衛門だよ。」

 横でシストとカタリナがびっくりして聞いている。二人が顔を見合わせた。二人の唇が同時に動いている。発声しないで「おおまちろくざえもん」と。はじめてルイスが、ルイス以外の名をもっているのを知ったのだ。

林の親分  
「なるほどね。大町六左衛門か。ルイスさんよ。今度ここに来る時きゃ商人なんかに化けるこたあねーぜ。おれが、おれの堀子だっていう手形書いてやっからよ。これがあれば、琉球(りゅうきゅう)だろうが、松前だろうが、行きたいところへ、どこだっていけらあ。関所なんかつーつーに通過だぜ。もちろん、大町六左衛門じゃいけねー。だが、まかしときな。俺の子分たちも世間にでて自分の名を明かせば、みーんな捕まっちまうやつらばかりだからよー。俺が、いろんな名前を作ってやって手形を書いてやるんだ。俺は、偽名を考える天才だぜ。わっはっは。うまい話しだろー。よーし、大町六左衛門じゃねーぞー。馬井六左衛門だ。どーだ、うまいだろう。わっはっは。」

 林の親分は大陸的な人間だ。島国的な日本人とは全く違う。ごうかいで、おおらかだ。そして、外交的手腕にたけている。いろんな人との交渉ごとに、大変な才能を見せ、なんでもうまくやってしまう人物だ。かけ引き、取り引きなら、俺にまかせろという親分なのだ。

林の親分  
「そうだ。シスト先生にも先生らしい名前くっつけて手形書いてやらあ。めでたい名がいいだろう。めでたいっていう字の嘉左衛門先生。悪くねーだろう、な。」

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2008年5月20日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

http://lphakobune.web.fc2.com/33nen_021.html


「33年」(20)ルイスと唐人屋敷での再会

「33年」(20)ルイスと唐人屋敷での再会
 唐人屋敷に、ルイスが来た。商人の格好で現れた。カタリナは、大喜びである。もう夢中でしゃべっている。ルイスと最後に別れた時から今までのことを話しに話して、今晩もおこなわれる「林一家のシスト塾」のことまで、一気に、長時間、ルイスには話すいとまも与えず、一方的にしゃべりまくった。

 ルイスは聞いている。頭を二分割して聞いている、半分はカタリナの話しを追っている。そして、半分は・・・。この唐人屋敷にあがってくるまでにルイスは見た。まっ昼間からにぎわっているふもとの町を。つまり、遊女と寝る店、ばくちをうつ場所、飲み屋、見せ物小屋、芝居小屋、それらが軒を連ねて並び、どこも大にぎわいだった。遊んでいる若者達は、ならずものとしか見えなかった。林一家だって皆、休みの日にはこうして女を買い、酒を飲み、ばくちを打つ連中にまちがいない。

おお、この勝利は大きい。難攻不落の城を一人のちっちゃな子どものような女がいともたやすく落としてしまったようなものだ。おお、神よ、あなたは一体ここにどんな計画をもってらっしゃるのですか。と、半分は背筋がぞくぞくするほどの戦慄をおぼえながら神と対話している。

カタリナ 
「ルイス。私うれしいの。神様ありがとう。私は、なんにもやっていないのに。神様大好き。」

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2008年5月18日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

http://lphakobune.web.fc2.com/33nen_020.html


「33年」(19)シスト塾

「33年」(19)シスト塾
カタリナ
「あのー。それで、私・・・。この野菜、あの母と子に持って行っていいのかなあ。」

林のおかみ 
「もちろんだよ。ありがとうね。先生の奥さん。」

 林の親分は本当に林一家の全員にくら替えを命令した。命令したが、どんな神様か良くわからない。皆に、どんな神様ですかと聞かれて困ってしまった。精錬の部門で、高麗式の炉づくりをはじめているシストのもとに林の親分がさっそくやってきた。シストを見つけて声をかける。

林の親分 
「シスト先生よ。仕事中すまねー。ちょっと相談してえんだが。」

シスト  
「ああ、林の親分。何ですか。」

林の親分 
「おれたち、林一家は全員そろって仏様からシスト先生と先生の奥さんの神様にくら替えすることに決めたんだ。それで、シスト先生の神様についてシスト先生から教わりてーんだが、どうだい、教えてくれねーか。」

シスト  
「えー。何でまた。」

シストは驚いてしまった。何が起こったのか見当もつかない。しかし、林の親分がカタリナとのやり取りをはなしてくれて納得した。

シスト  
「わかりました。林の親分。僕が知っていることは、全力を尽くして全部教えます。じきにルイスという友達がたずねてくれるはずです。彼は、何でも知ってるから、彼が来たときに、何でも教えてくれますよ。洗礼もさずけてくれます。今度彼が来たとき、皆が洗礼をさずけてもらえるように、今日から毎晩教えましょう。いいですか。」

林の親分は、まだ洗礼とか何もわからず、ちんぷんかんぷんの話しだが、とにかく、彼は本当の神様について、真剣に聞きたいのだ。

林の親分 
「洗礼ってえのは、何かわかんねーがよー。当面、みんな毎晩、酒飲みに行かねーで、女買いに行かねーで、ばくち打ちに行かねーで、シスト先生の塾に出ろって言えばいいんだな。」

こうして、ルイスが来たら洗礼を林一家全員で受けようとやる気まんまんの皆で、シスト先生を向かえ、その日から「林一家のシスト塾」が、はじまった。

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2008年5月16日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

http://lphakobune.web.fc2.com/33nen_019.html


「33年」(18)本当の神様

「33年」(18)本当の神様
 翌日のお葬式である。妻子がとりすがって泣いているが、その妻子よりもさらに大泣きしているのがカタリナだ。死んだ堀子は本当に若い。

カタリナ 
「あーん。あーん。なんでこんなに若いのに死んじゃうの。あーん。あーん。奥さんと子どもはどうなっちゃうの。」。

 カタリナの胸は同情で張り裂けんばかりだ、泣けて泣けてしょうがない。とにかく豊かな同情心がカタリナの特徴だ。死んだ若い堀子の顔を見て、シストとカタリナはここに居る人たちの中で二人だけが負っている強烈な体験がフラッシュバックする。祖国を守るために命を散らした若者達の何千という顔。耳と鼻をそがれた顔だ。あどけないほど若い顔が多かった。あの若者たちの父や母の悲しみはどんなに深いだろうか。また、自分たちと同じくらいの若者達も。残された妻たちはどんなになげいているだろうか。子どもたちは、どんなにさびしいことだろうか。

目の前で、「あなた」「お父ちゃん」と遺体にすがって泣く妻子の姿に、シストとカタリナは同情で、気が狂わんばかりになってしまっている。人間が持つ愛には、いろいろな種類の愛がある。その中で一番神の持つ愛に近いのは同情の愛である。しかし、ただ同情を感じるだけにとどまるなら、それが何になるだろう。シストとカタリナは、実際的な人間、行動的な人間、思ったら言い、考えたら行動する人間だ。その自然的土台の上に、イエズスの教えが今や加わっているのだ。「これらの最も小さな者の一人にしたことは、私、イエズスにしたのである。」という教えだ。

シスト  
「カタリナ。ヨゼフ様に先立たれて悲しむマリア様とイエズスに対してしてあげていると思って何かしてあげようね。役人から渡された当面の生活費があるから、それを使おうよ。」

カタリナがシストの手を握り締める。

カタリナ 
「うん。シストありがとう。私にまかせといて。」

 翌日、野菜売りがやってくると、カタリナは野菜をどっさり買った。半分はあの母と子のためだ。それをかかえてさっそく母と子をなぐさめに出発する。まず、向かうのは林の親分の家だ。赤ちゃんルイスをおんぶって、両腕いっぱいに野菜をかかえてうれしそうに歩いていく。

カタリナ
「こんにちは。」

林の親分 
「おお、あがれー。おまえー。先生の奥さんだぞー。」

 林の親分がいた。おかみも奥から出てくる。

林のおかみ
「まあ。先生の奥さん。たくさん野菜買ったね。どうするの。」

カタリナ 
「昨日のお母さんと子どもの家にもっていくの。親分が面倒見てあげるって聞いたけど、私にも何かやらせて。」

林の親分 
「そりゃーうれしいが・・・。先生とこの方が今のところ、ここの誰よりも貧乏だぜ。何も持ってねーじゃねーか。今からそろえなきゃなんねーものばかりだろうによ。いいのかよ。」

カタリナ
「シストと私はどうしてもこうしたいのよ。お願い。」

林の親分 
「ちょっと、そこに野菜を置いて、まあ、上がれ、上がれよ。話しを聞きてえからよ。」

 カタリナは、言われるままに上にあがり、親分と向き合う。

林のおかみ
「お茶いれるからね。赤ちゃんを座布団の上におろしなよ。」

 おかみは、お茶の仕度にかかる。

林の親分 
「来たばっかりで、昨日はじめて会ったばかりの親子だろ。おまけに、自分たちは家財をこれっぽっちも持って無いし。乳飲み子抱えて、これからものすごく物入りだ。何でそこまでやるんだい。ふつう、そこまでやんねーよ。」

林の親分は、とってもまじめになって、問いただす。カタリナは、小さな女の子のように無邪気に普通のことのように答える。

カタリナ
「私の神様がね、あなたが人にしてもらいたいと思うことを人にしてあげなさいって教えてくれているの。」

林の親分
「ほー。人にしてあげなさいって教えているわけか。自分が人にしてほしくないことを人にするな。とは、ちょっと違うねー。」

カタリナ
「そしてね。あなたが人にしてあげたことは、神様にしてあげたことだ、って教えてくれてるの。」

林の親分
「ほー。人間が神様に何かしてあげられるってのかい。」

カタリナ
「そうなの。それで、シストと私はね。あのかわいそうな人に何かしてあげたいの。」

林の親分
「なるほどねー。でも先生の奥さん。もしかして忘れてやしねーかい。あの親子は、日本人だ。あんたらとあんたたちの国をひでーめにあわしている国の人間だよ。いいのかい。」

 林の親分は、カタリナを試し、カタリナの神様を試すための質問をぶっつけてきた。しかし、カタリナは気づいていない。まったく変わらず、同じように無邪気に答える。

カタリナ
「私の神様はね。あなたの敵を愛しなさい。迫害する人々のために、祈り、祝福しなさいって教えてくれたのよ。」

もう林の親分は、カタリナに向かって何も言わない。突然、林の親分は、林のおかみに向かってしゃべりだす。

林の親分
「おまえ、先生と先生の奥さんの神様は、本当の神様なんだ。おれは、たった今、くら替えするぜ。お前も、くら替えしろい。」

 これには、カタリナもぶったまげた。林のおかみが目をまんまるくして、おったっている。

林の親分
「俺は、ちょっと堀子みんなのところにへ行ってくるからな。あいつらにもくら替えさせる。くら替えだー。くら替えだー。」

 林の親分は、おかみにこういい残して外に出て行く。カタリナは、あっけに取られている。林のおかみは、カタリナの前にお茶を置いて、ぼそっと言う。

林のおかみ
「鎚親はさー。かわいがってる若いのが、30にもならずに次から次へおっちんじまって、葬式ばかりだしてるだろう。本当に救ってくれる神様が欲しいんだよ。」

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2008年5月15日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

http://lphakobune.web.fc2.com/33nen_018.html


「33年」(17)鎚親と堀子

「33年」(17)鎚親と堀子
 日本の鉱山には、鎚親制度というものがあった。やくざの親分、子分の関係の原型のようなものだ。親分は、鎚親で子分は堀子と呼ばれた。鎚親の命令は絶対である。そのかわり、鎚親は、本当の親代わりとして堀子の面倒を何から何までみた。鉱山は、治外法権である。ならずもの、おたずねもの、くいつめたもの、かけおちしたものが逃げ込んで、誰かの鎚親のもとに、わらじを脱げば、その鎚親の堀子になって生きていける。

しかし、鉱夫である堀子のほとんどは、30才にもならずに、じん肺などで死んでしまう。堀子は、一般に結婚しないで生涯を終える。ただし、妻子連れで逃げ込んだ者や、駆け落ちして逃げ込んだ者は、妻子がいる。

 シストとカタリナは、林の親分の家で食事をしている。

林の親分
「明日、堀子の一人の葬式があるが、来ねーか。シスト先生。」

シスト
「行きます。」

林のおかみ
「駆け落ちしてきた人だったから、妻と子どもを残していっちゃったんだよ。」

カタリナ
「まあ、かわいそう。」

 林の親分とおかみはため息をつく。

林のおかみ
「こんなに、みんな早く死んで、夢も希望も無いよ。」

林の親分 
「妻子を残して死ぬんじゃ、うかばれねーよなあ。」

 シストとカタリナは、気の毒そうに黙って聞いている。

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2008年5月15日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

http://lphakobune.web.fc2.com/33nen_017.html


リトル・ペブルの泉

リトル・ペブルの泉
 2006年8月22日、「聖母の汚れなき御心」の一級大祝日の日、マリア様は、ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力とマリー・マドレーヌ杉浦律子に御出現され、秋田県湯沢市雄勝地区「寺沢」の「奇跡の泉」を、「リトル・ペブルの泉」と名づけるように指示なさいました。それは、「今のリトル・ペブルの苦しみゆえに与えられるからです」とマリア様はおっしゃっておられます。

 この日、マリア様はマリー・マドレーヌに、泉の湧く場所を掘るように指示され、マリー・マドレーヌとジャン・マリー神父は素手で草をむしり、小さな穴を掘りました。今日(2006年8月27日)の時点で、まだ泉は湧いていませんが、マリア様は泉が湧く時、ジャン・マリー神父とミッシェル・マリー・フランソワに知らせることを約束なさいました。

 この8月22日、マリア様は特別な新しいタイトル「全ての恵みの仲介者、あがないの共贖者の聖母」として御出現されました。マリア様はそのお姿をミッシェル・マリー・フランソワとマリー・マドレーヌに幻視させ、その御像をつくるように指示なさいました。

 今、現在「秋田の聖母の第2出現」、つまり「寺沢の御出現」について明らかになっていることは次のとおりです。

■ 「リトル・ペブルの泉」は、今のリトル・ペブルの苦しみゆえに与えられる。

■ 「リトル・ペブルの泉」は、今までのものと違い、肉体の病気と精神病の癒しだけでなく、霊魂の癒し、霊魂の照らし、そしてリトル・ペブルを支持し、彼のために働く者たちには、そのために必要な注付恩寵(ちゅうふおんちょう)が与えられる。

■ マリア様は「寺沢の御出現」において「『全ての恵みの仲介者』『あがないの共贖者』の聖母」のタイトルで御出現され、教皇ベネディクト16世がこの二つのドグマを宣言することを支援される。と同時に、リトル・ペブルの教皇職の正統性を宣言される。

■ 寺沢近辺に建てられる大聖堂は「寺沢の殉教者たち」に奉献される。やはり寺沢近辺に建てられる同宿院は「聖母の浄配」であるリトル・ペブルに奉献される。すなわち「リトル・ペブル、三重の契約の預言者」男子同宿院、「リトル・ペブル、聖母の浄配」女子同宿院である。

http://charbeljapan.cocolog-nifty.com/charbeljapan/2006/08/post_030b.html


リトル・ペブル同宿会ニュース No.002

http://www.youtube.com/watch?v=x_sSSEwf5oo


「33年」(16)石見銀山 林の親分と林のおかみとの出会い

「33年」(16)石見銀山 林の親分と林のおかみとの出会い
石見銀山に着いた。役人が、一家を連れて行ったのは唐人屋敷である。シストとカタリナは、家が立派なので、驚いている。わずかな自分たちの荷物をその家に運びこみ、役人から家の中の説明を受ける。

役人
「シスト先生、奥さん。ここで少し待ってて下さい。林のおかみさんを連れてきますから。」

シスト
「あー、ハイ。」

シストもカタリナも何も分からずとまどっている。二人ともお腹がすいている。カタリナは、赤ちゃんルイスをあやして話しかけながら外に出る。林のおかみがやってきて大声をだす。

林のおかみ
「あんた。高麗から連れてこられたんだって。」

カタリナ
「あっ はい。」

林のおかみ
「遠くね。海の向こうから良くここまで耐えてこれたね。本当にね。そんなさー。赤ん坊抱えてさ、大変だろう。私に任せとき。困ったことがあったら何でもいうんだよ。」

こう言いながら林のおかみは、大きな手でカタリナの背中をバンとたたいた。

カタリナ
「キャー」

カタリナは赤ちゃんを抱いたまま前へつんのめった。

林のおかみ
「あー、そうそう。ここはゴロツキ、札付き、何でもいるから、周りの連中から何かされたら、すぐに、わたしんとこに言いにくるんだよ。」

シストも外にでてきて、林のおかみの話を聞いている。

林のおかみ
「高麗から来た先生だね。奥さんと一緒にうちに来な。しばらく、勝手がわかるまで、うちで食事を一緒に食べるんだよ。さあ、いいから、いっしょにおいで。」

二人は訳が分からないまま、あいさつも自己紹介もせずに赤ちゃんルイスを連れて、林のおかみのうしろをついて歩いていく。林のおかみがすごい大声をあげる。 

林のおかみ
「あんたー。」

林の親分と子分たちは昼休みを終えたところだ。親分は子分たちにどなっている。

林の親分
「おーい。お前ら。何をぐずぐずしているんだ。油売ってねーで、早く持ち場に戻れ、こら。」

ふざけながら仕事場にもどろうとする子分たちがいる。まだ、口にキセルをくわえている子分が一人いる。林のおかみがそれを見つけて、なんと走っていく。とびかからんばかりだ。

林のおかみ
「何やってんだい。キセルなんかふかしてさ。早く消しなよ。」

どん。とその子分の頭を林のおかみがぶんなぐったので。キセルが口から離れて地面に落ちた。向こうでは子分同士が、けんかしている。

林の親分
「お前ら。また、やっているな。何してやがんだ。こら。」

子分達は、皆、若い。活気にあふれている。そして、林の親分とおかみは迫力にあふれている。今、林の親分とおかみは一緒になって、シストとカタリナの方へくる。

林の親分
「ほおー。赤ん坊連れかー。」

いきなり林の親分は赤ちゃんルイスの顔をのぞきこむ。赤ちゃんルイスが、ニコニコする。

林の親分
「おっ。俺に笑ったぞ。かわいいなあ。おい、お前。この赤ん坊、すごくかわいくないか。」

林のおかみものぞきこむ。また、赤ちゃんルイスがニコニコする。

林のおかみ
「ああ、たまんない。こんな、かわいい赤ちゃん見たことないよ。先生の奥さん。ちょっと抱かせてよ。」

人見知りが、はじまる前の赤ちゃんだ。天使のような笑顔。夢見るような表情を誰にでも見せてくれる。林のおかみは、赤ちゃんルイスを抱っこする。

シスト
「この子が、特別すごくかわいいっていうことは決してありません。」

シストが大まじめに、こういいはじめたので林の親分とおかみはキョトンとする。

シスト
「でも高麗の赤ちゃんは、世界一かわいいです。」

一瞬、沈黙の時があったが、林の親分が大声で笑いだす。

林の親分
「ワッハッハッハッ。こりゃーいい。こりゃー気にいった。先生、俺は実は、中国人だ。林 太郎衛門って言うんだが、『はやし』っていうのはな、『りん』だよ、『りん』。」

こうしてたちまちひょんなことからシストは林の親分に気に入られてしまった。国が負けても、捕虜になっても、祖国に対する誇りを堂々と口にする。しかし、自分のことは誇らないこの若者は、なんという魂の持ち主だと林の親分は驚いたのだ。多くの若者の面倒を見てきたが、こんな若者は、はじめてだと思ったのだ。

林の親分
「先生、先生の奥さん。鉱山では、役人なんか何の力も持っていねーんだよ。鎚親っていうのが、力をもってて、みんなに言うことを聞かせているんだ。その鎚親達の中でも一番実力があるのが、この俺だ。だから、役人から先生たちのこと頼まれてるのさ。」

林夫妻とシスト一家は、林の親分の家に向かって歩いていく。

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2008年5月12日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

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「33年」(15)関門海峡を渡る

「33年」(15)関門海峡を渡る
関門海峡の手前の宿屋である。明日は、船に乗る。夜である。赤ちゃんルイスが泣きはじめた。カタリナがおっぱいをやるために起き、子守り歌を歌いだす。もちろん、母からならった子守り歌である。カタリナの声は、日本人の声とは違い、少しハスキーな、少し低めの声だ。シストも目をさまし、カタリナの子守り歌に聞き入っている。満腹した赤ちゃんルイスが、また、寝る。

シスト
「カタリナ。祖国が、なつかしいね。」

カタリナ
「うん。」

シスト
「帰りたいね。」

カタリナ
「うん。私、ずっと左手に、私達が渡ってきた海があったでしょ。その向こうに高麗があると思うと、歩きながら、ずっと考えたことがあるの。」

シスト
「なにを。」

カタリナ
「モーゼの時のように、この海がわかれて、歩いて祖国に帰れたらなあって。」

シスト
「僕も、海の向こうの祖国のことばかり考えて歩いていたよ。この何日かずっとね。明日、船に乗ったら、その船が風に吹かれて高麗まで流されてくれないかなあなんて考えた。でも高麗には、また侵略軍がいて、たくさんの捕虜を捕まえて連行しているんだもの、まだ、祖国には帰れない。」

シストとカタリナは、侵略軍にふみにじられている祖国、苦しみにあえぐ祖国のことを考えている。そして、二人は泣く。しばらくしてカタリナが口を開く。

カタリナ
「シスト、この子は祖国に帰れるかしら。私達が帰れないとしても、この子には祖国を見て欲しいわ。」

シスト
「わからない。でもカタリナ。希望しようよ。夢をもとうよ。この子か、この子の子か、とにかく僕たちの血をつぐものが、いつか祖国を見ることを。ね。」

カタリナ
「うん。きっとかなうわよね。」

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2008年5月12日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

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リトル・ペブル同宿会ニュース No.001 アップしますた!

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「33年」(14)1594年 春が来て

「33年」(14)1594年 春が来て
1594年 春が来た。そして、石見銀山から役人が一人やって来た。シストとカタリナを迎えに来たのだ。家の主人が、セミナリヨのパードレの元へ知らせに行き、家の奥さんは旅のしたくをカタリナと一緒にはじめた。大きい子が赤ちゃんルイスのおもりをし、小さい子は泣いている。別れるのが嫌で泣いている。

出発は、明朝だ。月岳山から連行された時と違い、今回は準備のゆとりがある。お別れの夕食を作るために、奥さんが台所に行き、カタリナは畑に行く。「お父さんのにんにく」をほりあげて持っていくのだ。土のついた手で涙を拭いたのだろう、しばらくして戻ってきたカタリナの顔は泥で真っ黒だ。シストが悲しい表情でその顔を見て、やさしく微笑む。

シスト
「カタリナ。顔が泥まみれだよ。いっぱい泣いたのかい。」

カタリナ
「うん。いっぱい泣いちゃったの。ここのみんなと別れるのがつらいし・・・。お父さんお母さんのこと思い出しちゃったし・・・。」

シスト
「役人が、石見銀山には今、高麗人はいないっていっていたね。僕たちは、これで祖国からも同胞からも今度こそ切り離されてしまうね。」

若く、感情豊かな情熱家のシストは、子どものように素直に悲しみを表す。祖国や同胞により強く愛着するのはいつも男の方だ。女に比べて環境の変化への適応能力も低い。同胞が誰もいないところへ行くという事実に打ちのめされているシストはうなだれて涙をこぼす。二人は、心ゆくまで悲しみ、泣く。

一夜明けて、シストとカタリナはセミナリヨに朝ミサに行った。去年と同じように洗礼の準備にはいった高麗人たちが、皆、四旬節に入って朝ミサに来ている。大好きなシストとカタリナと赤ちゃんルイスが、今日立ち去るということを聞いて他の高麗人たちも皆やはり来てくれている。パードレの教理の説明は、急遽、赤ちゃんイエズスを連れたヨゼフ様とマリア様がエジプトに逃げる話しにきりかわった。

マリア様とヨゼフ様がしのんだ苦しみに、自分たちの苦しみを重ねあわせなさい。マリア様、ヨゼフ様に似たものになれたことを喜びなさい。感謝しなさいとパードレは話した。シストがささやく。

シスト
「そうだよね。苦しみとはずかしめ。この十字架、大好き。だもんね。」

カタリナ
「うん。この十字架大好きっね。」

ミサ後、同胞との悲しい別れをすまし、パードレとお別れする。パードレは、強く、二人を強くハッグし、そしてキッスしてくれた。そして、赤ちゃんルイスのおでこに親指で十字をしるし、抱き上げてキッスだ。

パードレ
「シスト、カタリナ、今、ルイスは旅に出ているけれど、ここに帰ってきたら、必ず石見銀山に行かせるからね。あなたたち、一家の信仰のお世話を今後もずっとルイスがたずねていって続けるから安心しなさい。」

シスト
「ああ、良かった。ルイスと時々会えるなら安心だ。」

パードレ
「なにしろ、ルイスは、この赤ちゃんの代父だもの。義務がありますからね。さあ、もう一度祝福します。ひざまずきなさい。」

パードレの祝福をうけ、一家は家に帰る。食事をしていたら、昨日の役人が来た。馬を引いている。馬にあの大きな鉄鍋、お父さんのにんにくの袋、三人の身の回りのわずかな品がのせられる。

シストとカタリナの代父、代母。つまり、信仰においてのお父さんお母さんであり、しかも、実生活でも親のようにかわいがってくれた家の主人と奥さんとのお別れ、小さい弟や妹のような子どもたちともお別れだ。お互いにもう二度と会えないとわかっている。お互いに情がうつっているから、この別れは本当の家族との別れと変わらないつらさだ。シストとカタリナは、役人に連れられて、こうして、また長い旅に出る。

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2008年5月12日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

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リトル・ペブル同宿会ニュース No.001

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「33年」(13)1593年のクリスマス 深夜ミサ

「33年」(13)1593年のクリスマス 深夜ミサ
1593年のクリスマスの深夜ミサ。赤ちゃんルイスを抱いたカタリナを思いやって、ルイスがシストとカタリナを、セミナリヨの聖堂の玄関、つまり屋根の下に連れてきてくれた。

今晩もまた、大勢の高麗人たちが洗礼を授けられる。長い長いミサ。セミナリヨの10代の子たちの歌声が響く。開け放たれている聖堂の扉からローソクがゆれる祭壇が見える。外は、冬の夜。そして、光る星。玄関のひさしの下で若い夫婦が小さい乳飲み子を抱いているのだ。何というクリスマス。馬小屋に呼ばれた貧しい羊飼いたちは、今晩は、高麗人捕虜たちだ。カタリナがささやく。

カタリナ
「シスト。私、去年のクリスマスとぜんぜん感じが違うの。マリア様が、どんな気持ちだったか、とってもよく分かるわ。」

シスト
「そうか。ぼくも、ヨゼフ様がどんな気持ちだったか、とってもよく分かる。」

二人は赤ちゃんルイスを見つめる。

カタリナ
「パードレが、いつまでも謙遜で、ちっちゃいままでいなさいねって言ったのおぼえている? シスト。」

シスト
「謙遜で、ちっちゃいままでいることを教えてくれるために、イエズスは赤ちゃんになってくれたんだね。」

カタリナ
「こんなに、わたしに頼りきってこの子が生きているみたいに、私も神様に頼りきっていつも生きていきたい。」


シスト
「そして、何があっても頼りきって、安らかにまかせきっていたいね。ぼくも。」

涙のクリスマスだった最初のクリスマス、二人は苦しめとはずかしめを、花婿と同じ運命に預かることを喜ぶ花嫁の愛で受け入れ、愛し、望み、喜ぶことが魂の戦いの勝利であることを神の照らしによってつかんだ。

二回目のクリスマスは、苦しめとはずかしめによって、謙遜でちっちゃいものとして生きぬく基礎を与えられた。連行以来の日々を、神は「幼な子路線」として完成させる恵みの日として下さった。

シストとカタリナは、この日、強烈な確信をだき、ちっちゃい子らしく、かわいらしく、生き、話し、行動することを今後、生涯はずかしがることなく続ける。

実はこれから、有馬を去れば、シストは先生、カタリナは先生の奥さんと呼ばれる日々が待っているのだ。二人は、それを知らない。しかし、神はその環境の中でも二人が、ごう慢にならず、逆にますます自らすすんで謙遜になるように、すばらしい配慮をもって二人を導いてくださっているのだ。


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2008年5月12日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

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「33年」(12)長男ルイスの誕生

「33年」(12)長男ルイスの誕生
1593年8月、赤ちゃんが生まれた。男の子だ。シストにそっくりだ。シストとカタリナは、名前と代父を考えている。カトリックは生まれるとすぐに洗礼を授ける。その時、親にかわって、赤ちゃんを抱いてくれるのが代父、または代母である。そして、たいてい名前を代父、または代母の名前にする。

シスト
「ねえ、カタリナ、ルイスに代父になってもらおうよ。この子の名前もルイスがいいな。」

カタリナ
「私達の一番の友達だもんね。それが、いいわ。」

シスト
「ルイスが今度旅から帰ってきたら、たのもうね。」

カタリナ
「うん。」

代父、または代母は、その子の親代わりだから、その子とも、その子の家族とも、切っても切れない関係になる。ルイスは、旅から帰ってきて、さっそくやってきた。

カタリナ
「ルイス。赤ちゃんを抱っこして。かわいいわよ。首がすわってないから。頭をこうやってささえてね。」

ルイスが、とまどいながら、へたくそに抱く。

ルイス
「僕は、恐いもの知らずだと言われているけど、こんな生まれたての赤ちゃんは、こわれそうで恐いよ。どうしよう。」

本当に小さな手や足やその指だ。10才の時から家をはなれ、セミナリヨで男ばかりの団体生活をしてきているルイスは、普通の家庭で体験することをほとんど体験していない。男だけの社会の中で信仰と頭脳と体をきたえにきたえて、今は、迫害のさなか、
信仰の戦いのさびしさの中、身を危険にさらしつつ、007か忍者かのように活躍している。そして将来、結婚する気はさらさらない。同宿は、司祭や修道士とは違うから、結婚できないことはないのではあるが。

シスト
「ルイス。この子の代父になってくれないか。」

カタリナ
「ルイス。お願い。そして、この子に私達ルイスって名前付けたいの。」

ルイス
「えー。本当に。うん。喜んでなるよ。」

8月15日の聖母被昇天の大祝日。有馬の高麗人たち、皆に祝福されて、シストとカタリナの赤ちゃんは代父のルイスに抱かれて洗礼を授けられた。

パードレ
「ルイス。エゴ・テ・バプティーゾ・イン・ノミネ・パートリス・エッツ・フィリィ・エッツ・スピリトゥス・サンクティ。」

今年、送られてきている、去年よりさらに多くの高麗人捕虜たちに、シストは教え、カタリナはなぐさめてきたが、この、ただ泣いたり、おっぱいを吸ったり、微笑んだり、眠ったりしかできない小さな赤ちゃんが、彼ら全員に与えた希望は大変大きい。たった一人の存在なのに、高麗人、皆の喜びと未来への希望の源に赤ちゃんルイスはなっているのだ。喜びに湧く高麗人たちを見て、パードレがルイスに言う。

パードレ
「まるで伝道士一家だね。シストとカタリナが一年間残ってくれて、本当に助かってるよね。私達は。」

ルイス
「パードレ。僕は、この二人に特別な友情を持っています。二人を尊敬しているんです。二人が祖国と同胞に対して持っている愛と誇りは素晴らしいですね。」

パードレ
「そして、二人は、謙遜で、単純で、素朴で、真っ直ぐだね。」

パードレと、ルイスは、高麗人たちの祝いと喜びの輪の中に入っていく。パードレが、ルイスとカタリナにハッグとキッスを与えるのが見える。

そして、シストとカタリナは、パードレとルイスに連れられて、今日、盛大に花で飾られた、あの、AとMの組み合わせ文字のマリア様の祭壇に向かう。カタリナは、聖水を降り注がれ、ローソクを持たされ歩き出す。

カタリナ
「ああ、マリアさまありがとう。」

パードレがルイスを侍者に、産後の母と子の祝福の式を行ってくれるのだ。ローソクをしょく台に立て、赤ちゃんを抱いたまま祭壇の前にひざまづくカタリナ。シストもその横にひざまづく。高麗人たちが皆、うしろについてきている。

式が終わった。パードレが、皆に話す。そして、通訳するのはシストである。あの時と同じ言葉。

パードレ
「誰でもみんな、マリア様の子どもです。これから、あなたたちは、自分をまだおっぱいを飲んでいる小さな子どもと考えて。マリア様を自分の本当のお母さんとして、何でもお話しするのですよ。そうしたら、マリア様によって、幼子にしていただけます。」


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2008年5月12日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

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「33年」(11)待ちに待った復活祭

「33年」(11)待ちに待った復活祭
待ちに待った復活祭である。シストとカタリナは、他の多くの高麗人たちと洗礼を受ける。家の主人が、シストの代父、奥さんがカタリナの代母だ。

パードレ
「シスト。エゴ・テ・バプティーゾ・イン・ノミネ・パートリス・エッツ・フィリイ・エッツ・スピリトゥス・サンクティ。」

高麗人の男性達が何十人も洗礼を受け終わる。次に女性達の番だ。

パードレ
「カタリナ。エゴ・テ・バプティーゾ・イン・ノミネ・パートリス・エッツ・フィリイ・エッツ・スピリトゥス、サンクティ。」

女性達も何十人もいる。カタリナは感動のあまり泣いている。シストという名とカタリナという名は、もう二人の正式の名前だ。

洗礼を受ける前から聖人の名前で呼ばれていた不思議な二人であるが、二人は今日からお互いのことを、おまえ、あなたと呼ぶかわりに、シストとカタリナと呼ぶことに決めている。洗礼の恵みをいつまでも忘れないために、そうしようと二人で考えて決めたのだ。ミサが終わって二人が出会う。

シスト
「カタリナ。おめでとう。」

カタリナ
「シスト。あなたも、おめでとう。」

このとき二人は、本当に生まれ変わったような気持ちがした。

シスト
「しあわせだね、カタリナ。」

カタリナ
「シスト、私、幸せで泣いちゃう。神様ありがとう。」

家の主人、奥さん、子どもたちが、口々におめでとうを言い、よろこびあう。それから、高麗人同志のおめでとうだ。シストとカタリナは沢山の洗礼を受けた高麗人全員に次々と声をかけ、よろこびあう。

ルイスが一段落ついたのをみはからってよってくる。

ルイス
「シスト。カタリナ。おめでとう。」

シスト
「ありがとう。ルイス。」

カタリナ
「ありがとう。ルイス。」

ルイスは、大きなカタリナのお腹に目をやる。

ルイス
「このお腹の赤ちゃんのおかげで予定が変更になったんだよ。君たちは、もう一年、ここにいるんだ。石見銀山に行くのは来年の春だって決まったよ。よかったね。みんな。」

といって、子ども達の頭をポンポンとたたいていく。

子ども達
「わーやったー。シストとカタリナとまだ一緒に遊べるー。」

キャーキャーといって子ども達が、シストとカタリナにしがみつく。喜びが重なった。

そして、有馬でのさらなる一年は、ルイスとシスト、カタリナ夫妻の友情を非常に固くすることになるのだ。


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2008年5月12日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

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「33年」(10)1593年 春

「33年」(10)1593年 春
1593年 春が来た。カタリナのお腹がふくらんできている。赤ちゃんをみごもったのだ。胸も、体全体も、顔も、女らしく、母らしく変化している。それだけではない。母性愛もまた育ってきている。

小さなもの、か弱いものへ愛がわきでる。持ち前の同情心は、この母性愛によって自然とさらに強まっている。

セミナリヨでは四旬節に入り、洗礼の準備が本格化した。今日から高麗人たちは、日曜だけでなく、毎朝、ミサに行き、説教を聞き、教理の説明を受ける。今日は、四旬節、第一週の月曜日だ。シストとカタリナが、日曜日以外にも朝ミサに行く初めての日だ。
有馬の漁民、農民は朝はやくから働く。いつもいっしょに働く家の人たちにすまないと思いながらも、わくわくどきどきしながらセミナリオにやってきた。

ミサの福音はマテオによる聖福音、25章の31節から46節である。ラテン語で読まれたあと、パウロの通訳つきでパードレから内容が説明された。「あなたたちが、わたしの兄弟であるこれらの最も小さな者の一人にしたことは、私イエズスにしたのである。」「我が父に祝せられたものよ、来て、世のはじめよりあなたたちのために備えられた国を得よ。あなたたちは、私が飢えた時に食べさせ、渇いたときに飲ませ、旅人であったときに宿らせ、裸であったときに着せ、病んでいたときに見舞い、牢獄にいたときに来たからである。」

帰り道は、カタリナはものすごく幸せそうである。シストの手をにぎり、一緒に歩く。いつもとまったく違う。ギュ、ギュ、ギュというにぎり方にシストが聞く。

シスト
「おまえ、何かあったかい。うれしそうだね。すごく。」

カタリナ
「うん、あなた。私、今、胸が燃えているみたいに熱いの。」

シスト
「なんで。」

カタリナ
「わたしね。イエズスのことを知れば知るほど、こんなかわいそうな神様、世界のどこを探したって他にいないって思うの。それで私、イエズスに、かわいそうなイエズスに何かしてあげたくってしかたがなかったんだけど、何をしたらいいかわからなかったの。
ねえ、さっき聞いたでしょ。最も小さな者の一人にしてあげたことは、イエズスにしてあげたことだって。私、やっとイエズスにしてあげるにはどうしたらいいかわかったわ。
これから大好きなイエズスにいっぱいしてあげられると思うと、私うれしくって、飛んで行っちゃいそう。」

シストのまわりを両手をつないでぐるぐるまわりだすカタリナ。そして、カタリナの望みはすぐ実現しはじめる。春になり、海がおだやかになり、高麗からの捕虜の海上輸送が再現され、有馬にも去年の自分たちのように苦しみとはずかしめに打ち砕かれ、希望をなくし、つかれきって、ぼろぼろの姿の高麗人捕虜たちが、また新たに到着しだしたのだ。

シストとカタリナは、この四旬節の間、パードレからイエズスのご受難、ご死去、つまり、もっともはずかしい、そしてもっとも苦しい極刑であるはりつけの死について沢山のことを聞かされた。また、ルイスも旅から帰るとたずねてくれるが、涙のクリスマス以来、ルイスは話題として日本のキリシタンに加えられている迫害のことを出すようになった。彼らからカトリックの歴史、神の国のために命をささげた殉教者たちについても教えてもらっている。

シストとカタリナが月岳山から釜山まで歩かされたのは、釜山浦(フサンカイ)と東?と尚州と忠州で防衛戦が戦われて間もない時だった。二人は、祖国を守るために死ぬまで戦い、勇敢に命をささげた兵士たちのなきがらが、何千と積まれているのを見た。立派な服装の武将のなきがらは首が無く、他の首のあるなきがらは全てみな、耳と鼻がそぎ取られていたのだ。死んでのちにも加えられたはずかしめ。歩きながら二人はどれほど泣いたことか。日本の武士達は自分たちの手柄の証拠とするため、それらを日本に送ったのだ。

それでもシストは祖国のために命を捧げつくした勇敢な彼らを、その時、うらやましいと思った。

今、シストの胸には一つの熱望がやどりはじめている。神の国のために命を捧げること。愛する祖国、高麗のために命を捧げることである。同胞の高麗人たちのために、働きたいとシストは熱烈に願っている。そこに新たな高麗人捕虜達の到着である。シストは教え、カタリナは慰める。二人の自発的な奉仕がはじまった。


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2008年5月12日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

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「33年」(9)涙のクリスマス

「33年」(9)涙のクリスマス
ルイスは笑っている二人を見つめ、昨日得た情報を伝える。

ルイス
「シスト。カタリナ。君たちの行き先が決まったよ。石見銀山っていうところだ。とっても高い値段で売り渡されたそうだよ。」

シスト
「僕たちが、とっても高い値段で売られたっていうことを、僕たちは喜んでいいのかな。何か胸にズキンとくるんだけど。」

ルイスが答えに困っているうちに子どもたちが騒ぎ出す。

子どもたち
「シストとカタリナはどっかへ行っちゃうの。」 「嫌だどこにも行かないで。」 「ねえ、行きたくないって言えば行かなくていいんでしょう。」 「ねえ、おねがい。行きたくないって言ってよ。」

カタリナ
「私達は、行きたくないって言えないのよ。」

子どもたち
「嫌だ。嫌だ。どうして行きたくないって言えないのよ。」

子どもたちが泣き出した。二人にすがり付いて、二人をゆすって、泣いてせがむ。

子どもたち
「行かないって言ってよ。行きたくないって言ってよ。」

シストとカタリナは自分たちが戦利品だということは良くわかっている。でも、子どもたちには説明できない。人が人を物のように売り買いすることを。

カタリナは、子どもたちと一緒に、子どものように泣き出してしまった。近づく別れを悲しむより以上に、物のように売られるということが現実になってショックを受け、みじめな気持ちになってしまったのだ。

家の奥さんも泣いている。涙のクリスマスになってしまった。家の主人と家の奥さんは子どもたちをシストとカタリナから引き離し、別の部屋に連れて行く。子どもたちは向こうで、カタリナはここでまだ泣いている。

シスト
「ルイス。どうやってこのことを受けとめたらいいのかい。何か、とってもつらいんだ。自由を失った身分なんだって思い知らされて。」

ルイス
「シスト。カタリナ。その方法はね。自分の苦しみを全てイエズスの苦しみに重ねあわせ、イエズスに似たものとなれたことを喜ぶ。こういうやり方なんだ。」

ルイスは、実際の例を示すために、考えるための時間をとる。そして話をしだす。

ルイス
「イエズスはね、銀貨30枚で売り渡されたんだよ。奴隷一人の値段は、銀貨30枚って決められていたんだ。12使徒の一人ユダ・イスカリオテが、裏切って敵の司祭長たちにこの値段で売って引き渡したんだ。そして、イエズスは捕らえられて死刑を宣告されて十字架にはりつけになったんだよ。だから、自分たちが奴隷のように売られた苦しみとはずかしさを、イエズスがしのんだ苦しさとはずかしさに重ねあわせるんだ。そして、イエズスと似たものになれたことを喜ぶんだ。同じ苦しみ、同じはずかしめ、つまり、同じ運命、同じ十字架に預かれたことをね。」

シストとカタリナは、だまって集中して聞いている。二人ともそれぞれに何かをつかみかけているようだ。それを、見てルイスは、また、話し出す。

ルイス
「それからね。君たちは自由を失ってなんかいないよ。苦しみとはずかしめが強いられたもので、絶対に受け取らなくてはならないものであっても、それでも君たちの魂は自由なんだよ。イエズスがね、人が私の命をうばうのではなくって、私が自由に自分の命を与えるのだっておっしゃったんだ。苦しめとはずかしめをいやいや受けるか、苦しみとはずかしめを愛して、望んで、よろこんで受けるかの自由が、魂にはいつもうばわれずに残されているんだよ。いいかい。十字架の縦の棒は苦しみ。横の棒ははずかしめ。」

ルイスは、パードレが祝福するときのようにゆっくり手をたてに、ついで、よこにうごかして、十字を描く。それから、両腕を広げ、それをハッグするまねをしつつ、

ルイス
「この十字架、大好き。こうするんだよ。」

という。今、シストは、自分からすすんで親方の身代わりになったことを思い出している。

シスト
「そうだ、僕は自由に選んだんだ。苦しみ、はずかしめ、この十字架大好き。魂の闘いの勝利って、これだ。これなんだ。」

心と魂に大きな光を受け、シストの瞳がキラキラと輝く。

カタリナも黙ってはいるが、今、同じように、大きな照らしを受けつつある。同じ苦しみ、同じ十字架、同じ運命を夫と分かちあってきた幸せ。たしかに、自分はそれを望んできた。自分にとってこれ以上の幸せは、きっとこの世に無い。花嫁になった日、そういえばこんなことを感じたっけ。今、これをイエズスに。あの花嫁の愛で、イエズスを愛すれば、どんなことも幸せにかえられる。カタリナの顔に微笑がもどる。

「涙のクリスマス」。日本での最初のクリスマスを二人はいつまでもこう記憶するだろう。しかし、実はこの日、二人に神からの啓示の光という偉大なおくりものが与えられ、二人の生涯の闘いの方向性が定まったのだ。二人は、それぞれが受けたものを、まだ言葉にあらわせない。あまりに深い内的なさとりの場合、誰でもそれについてしばらく黙ってしまうものだ。シストが実際的な話に持って行く。

シスト
「ぼくたちの行き先は、ここから遠いのかい。」

ルイス
「かなり遠いよ」

カタリナ
「いつ、いくの。洗礼は。」

ルイス
「春になったら。ご復活祭に洗礼を授かるんだよ。パードレたちは、高麗人たちが洗礼を受けてから、それぞれの行き先に出発できるようにと頼んだからね。」

家の主人と奥さんが泣きやんだ子どもたちを連れて食卓に戻ってくる。こうして食事が再開する。


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2008年5月11日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

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寺沢の韓国人殉教者夫妻シストとカタリナの物語!

寺沢の韓国人殉教者夫妻シストとカタリナの物語!
400年の時を経て 今 明かされたシストとカタリナの33年の闘いの真実 !

祖国韓国の救いの為に、命を捧げた二人。その直系の子孫に託された希望… 今、寺沢で続く聖母出現 ! 先祖シストとカタリナと 祖国韓国への愛を込めて渾身の力を込めて書いたシナリオ !

寺沢の韓国人殉教者夫妻 シストとカタリナの 物語!

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「33年」(8)イエズスの右前足

「33年」(8)イエズスの右前足
1592年 クリスマス 12月25日である。

未明の深夜0時からはじまったクリスマスミサは、この年、有馬につれてこられた高麗人捕虜達のほとんどが来た。有馬中の人が来ているといえる。聖堂の中に入れる人数は限られている。シストとカタリナは他の高麗人捕虜と外でミサを聞く。彼らの熱心さは、まだ洗礼を受けていないにもかかわらず、燃えるようだ。ミサのはじめに、赤ちゃんのイエズスのご像をささげもったパードレが、外に出てきて、一番遠くのはしから行列をはじめてくれた。だから、シストもカタリナもかわいらしいご像を見ることができた。

カタリナ
「かわいいわ。かわいいわ。ね。あなた。ね。」

シスト
「うん。かわいいね。」

お昼になっている。シストとカタリナは、家の人々とご馳走を準備した。家の主人の先唱で食前の祈りが唱えられる。日本にきて6ヶ月近くになる。シストとカタリナには家の人の話がもうほとんど聞き取れる。話もかなりできる。高麗の人々が、日本語を非常に早く習得するので、司祭たち、修道者たち、同宿たちは、皆、驚いている。今も日本語だ。

家の奥さん
「カタリナ、はじめてのクリスマスの真夜中のミサはどうだった。」

カタリナ
「赤ちゃんのイエズスさまのご像が目の前を通ったの。かわいかったわ。ぷくぷく、やわらかそうな、かわいい、右前足が、目にやきついているわ。」

うっとりとカタリナは話すが家の人たちはぷっと吹き出して腹を抱えて笑い出す。しばらく笑いが止まらない。カタリナが言いたかったのは、赤ちゃんのイエズスの交差した、前に出された方の右足なのだ。外で大きな声がする。ルイスだ。

ルイス
「クリスマスおめでとう。」

皆、大喜びでルイスを出迎え、上にあがらせ、食卓につかせる。シストとカタリナが、この家に来てから、ルイスは旅から旅の間には、必ずこの家に訪ねてきてくれる。

ルイス
「楽しそうだね。」

子どもたち
「だって、カタリナが『イエズスの右前足』っていうんだもの」

カタリナ
「キャー。そんなことばらさないで」

この家の子どもたちとの会話がシストとカタリナの日本語会話の上達をなおさらはやめているのだ。子どもたちはシストとカタリナになついてしょっちゅう話かける。子どもたちが一番の先生だ。ルイスは子どもたちから聞く右前足の話に大笑いした。

5年前に秀吉が禁教令を出している。司祭、修道士たちは、目立たぬようにしており、にもかかわらず各地の教会、修道院が次々に破壊されてきている状況で、今や、日本人同宿たちが全国の信者の世話に以前にまして大活躍している。それで、ルイスも有馬にはほとんどいない。ルイスは、有馬の出身でキリシタン武士の子弟だ。優秀な子だったので選ばれて、セミナリヨの第一期生として入学した。ポルトガル語、ラテン語、論理学、哲学、神学をたたきこまれたエリートで、あらゆる司祭に仕え、通訳として同行し、名だたるキリシタン武将たちとも、皆と親しく交わっている、すごい同宿なのだ。遠い道のりも、短日時で行き来してしまう。道なき道も迷うことなく、どんどん進む。変装の達人で、名前もいっぱいもっている。まるで忍者のようなところがある。イエズス会の根拠地、この有馬と地方の信者を結ぶ人間だ。そのルイスが、シストとカタリナに、初めてあった時から何かしら特別にひかれている。シストとは同い年だとわかった。二人とも1570年生まれ。カタリナは1575年生まれだ。あの時、パードレもパウロも感じた、何かこの若い二人の夫婦は内面に素晴
らしいものを持っていると。それが何なのか見つけていきたい。

二人に対する興味がルイスを二人に接近させ、愛着させる。

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2008年5月11日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

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「33年」(7)ちっちゃいままでいなさい

「33年」(7)ちっちゃいままでいなさい
この教理の説明の時間が終わると、シストはカタリナの手を引いてパードレに一言いいにいく。

シスト
「パウロ、通訳して欲しいんだけど。」

パウロ
「ああ、いいよ。」

シスト
「パードレ、僕が天才だっていうことは、決してありません。それに、僕たち夫婦が特別な夫婦だっていうことも絶対にありません。」

シストの顔は真剣で、真実に自分たちを低くみているのが分かる。その真剣さは、変わらないが、目が今、遠くの一点を見る。そして、

シスト
「でも、高麗の人々が、工夫することにおいて、天才のようにひらめくのは世界一です。」

パードレは通訳のパウロの言葉を黙って聞き、さらにしばらく黙ってシストの言葉を吟味する。さきほどパードレは、小さい子のように単純で素朴なこの二人がそれにもかかわらず、絶対理解不可能な奥義と呼ばれることがらについて、それでも何とか自分なりにとらえてみようと、しばらく、真剣に沈黙し、自分なりに工夫して、ひらめきによってとらえたのを見た。もう3ヶ月も高麗人捕虜達に教えているパードレは、他の高麗人達も、同じように、シストの言う「工夫することにおいて、天才的なひらめき」を示すのにうれしい驚きを味わってきた。

パードレ
「私の子ども達、シストとカタリナ、私もそう思います。でもいつまでも謙遜でちっちゃいままでいなさいね。今のようにね。」

シストとカタリナは、本当にパードレをしたっている。親に対する子どものように、心をひらいて思っていることを素直に話す。パードレは、それだからますます「父の心」を刺激されるのだ。

「工夫することにおいての天才的ひらめき」が、技術的分野で発揮されてきたからこそ、シストとカタリナは高麗から連行されてきたのだ。これからシストが日本に伝える大規模高能率の精錬技術は、鉄鍋が大きいことによる技術革新ではない。なんとシストが伝え、石見銀山、院内銀山を世界一の産銀量にするのは、今で言う反射炉なのだ。

とにかく、数千人もの洗礼を準備中の高麗人捕虜達は、真理をとらえ、みとめ、信じるために彼らの民族的「工夫することにおいての天才的ひらめき」を最大限に用いてまわりのスペイン人、ポルトガル人、日本人のキリシタン達を驚かせつつある。

ここでカタリナが何か聞きたそうにする。パードレが目で促す。

カタリナ
「あの、パードレ、ちっちゃいことっていいことなの。私、ちっちゃいままでいなさいなんてはじめて言われたわ。」

この質問にパードレの顔はますます「お父さん」のようにやさしくなる。

パードレ
「おう。愛する私の子どもたちよ。天国はちっやい子になってはじめて入れるところなのですよ。」

パウロの通訳つきなので、パードレは区切り区切り話す。カタリナがこの言葉をきいて目をまるくして思わず、

カタリナ
「まあ、本当に」

と聞き返すのがおかしい。パードレは、ニコニコ微笑む。

パードレ
「本当ですよ。イエズス様が『幼子のようにならなくては天国に入れない』と教えてくださったのです。きなさい。」

パードレが、二人を脇の祭壇、マリア様の祭壇に連れて行く。幼いイエズス様を抱いたマリア様のおかれた祭壇である。

中央の立った人のももの高さには、アルファベットのAとMの組み合わせ文字がある。

パードレ
「誰でもみんなマリア様の子どもです。これからあなた達は自分をまだおっぱいを飲んでいる小さな子どもと考えて、マリア様を自分の本当のお母さんとして、何でもお話しするのですよ。そうしたら、マリア様によって幼子にしていただけます。」

パードレは、シストとカタリナが夢中になってマリア様の像を見ているのを、横から見つめる。カタリナの視線はどうやら胸に抱かれている幼いイエズス様に言っているようだ。

パードレ
「カタリナ。ちっちゃい子のように、遠慮なく何でもマリア様に話してごらん。さあ、何をお願いしてもいいんだよ。さあ。」

カタリナ
「何でもいいの。パードレ。」

パードレ
「いいよ。カタリナ。」

カタリナ
「マリア様、赤ちゃんをちょうだい。」

シストの顔が真っ赤になった。パードレが、二人に祝福を与える。

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2008年5月11日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

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「33年」(6)1592年10月有馬

「33年」(6)1592年10月有馬
有馬のどの家にも、あとからあとから連行されてきた高麗人がいる。有馬だけではない。キリシタン大名の治めるところでは、大村も天草も長崎も五島も同じように捕虜達が民家に分宿させられている。

イエズス会は、1566年から高麗への宣教を望んできていた。ヨーロッパ人は、遠い先を見て、用意周到に準備をする頭の持ち主である。日本の宣教のために1580年に有馬にセミナリヨをつくり、10才前後のキリシタンの子弟を入学させ、将来の同宿、修道士、司祭の養成をはじめると、日本生まれの高麗人のキリシタンの子弟も入学させ、高麗への宣教の準備をはじめたのだ。有馬には、パウロの他に何人かの高麗人同宿がいるが、今、彼らは、何千人もの高麗人の捕虜にカトリックの教理を教えるために、あちこちによって大わらわで働いている。

その何千人もの高麗人捕虜の中でもシストとカタリナはパードレたち、修道士たち、同宿たちの間で有名人になってしまっている。一体なにがあったのだろう。実は、こんなことがあったのだ。

イエズス会は上記の理由で、高麗人たちに熱烈に信仰の教育をほどこし始めた。シストとカタリナは、農家の一家と一緒に農作業をして過ごしているが、日曜日は高麗人たちのほとんどは、セミナリヨへ行く。そこで、パウロの通訳つきでパードレから、または、パウロから教理をならっている。

ある日のこと・・・・。パウロが通訳している。

パードレ
「神は唯一です。唯一の神には三つのペルソナがあります。父と子と聖霊です。これを三位一体といいます。三位一体は人間の頭では絶対に理解できません。ただ、これをこのまま信じるのですよ。」

その時、パードレの目に、お気に入りのシストの顔が飛び込んだ。

パードレ
「私の子よ、シスト。父と子と聖霊は別々の方なのですよ。なのに神は一体だなんて、信じなさいと言われても信じられますか。」

真剣にシストは考える。パードレは、しばらくシストの返事をまつ。ニコニコしながら。

シスト
「パードレ、わからないけど、信じたいから信じます。」

パードレ
「そう、そう。よし、よし」

パードレは、この返事に満足してうなずく。

シスト
「パードレ、これは僕が金と銀と銅を一つの石からとるのとにているなあと思ったんです。一つの石で、何のへんてつもない石に見えます。でも、その一つの石の中にちゃんと金と銀と銅がある。吹き分けたらちゃんと別々に取れるのですから。」

まず、パウロが驚きの叫びをあげる。パードレがパウロに

パードレ
「なに。なに。何をシストは言ったんだい。」

パウロ
「パードレ、聞いてください」

そして、シストの言葉を通訳する。パードレとパウロは顔を見合わせ、しばらく黙ってしまう。二人とも、三位一体について、こんなたとえを未だかつて聞いたことが無いのだ。もしかすると教会史上初の「三位一体の鉱石によるたとえ」かもしれない。やっとパードレが口を開く。

パードレ
「シスト、あなたは天才です。」

パードレは、となりにいるカタリナにも何か質問してみようと思った。

パードレ
「カタリナ、私の子よ。人間の五感では決してとらえられないけれど、ご聖体はパンではなくて、もうイエズス様になっています。人間の霊魂が永遠に生きるために、かたみとして与えて下さったのです。これも、また、分からなくても信じて認めなければなりません。それが出来ますか。」

カタリナも真剣な表情でしばらく黙る。それから悲しそうな声で話し出す。

カタリナ
「パードレ、私のお父さんが、私が連れて行かれる時に、これで長生きしてくれって、ニンニクを私に手渡したの。たったこれがお父さんの形見なの。神様は何でもできるでしょう。永遠に長生きさせるために、ご自分を食べさせるしかなかったら・・・。 
私も、もし私が何でもできる神様だったら自分を食べ物にして、 子どもにあげちゃう。何でもできる神様で、お父さんのようなイエズスが、そうして下さったって、私、信じたい。」

カタリナは、お父さんとの別れのことを思い出して、目に涙があふれる。パードレは、感動し、パウロと、また、顔を見合わせる。お父さんのニンニクと、イエズスのご聖体を並べて考える子どもらしさの中にも、もし私だったらと自己を食べ物にしてあげちゃうという愛深い自己犠牲の宣言があったからだ。

パードレ
「私の子どもたち、あなたたち夫婦は、なんという夫婦だ」

パードレもパウロもこの二人の話を皆に伝えずにはいられなかった。もちろん聞いた人々も感動し、食事の時の話題にしたり、次の人に伝えたりと。こうしてシストとカタリナに会ったことが無い人々も、シストとカタリナの名と、この二人の返事のことについて知るようになったというわけだ。

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2008年5月10日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

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「33年」(5)シストとカタリナの由来

「33年」(5)シストとカタリナの由来
パードレは、「シスト」をシスト2世からとった。彼は、アテネ出身のギリシャ人だが、イタリアのローマで司祭になり、ローマ皇帝のキリスト教徒への迫害のさなか地下教会の為に働き、ローマ司教、つまり、ローマ教皇になり、カタコンブと呼ばれる大地下墓地から信者を指導した。そして、このカタコンブの中でミサを行っている最中、密告により皇帝の軍隊に踏み込まれ、そこで首をはねられるというドラマチックな殉教をとげた。

そして、又、パードレは「カタリナ」をシエナの聖カタリナからとった。
彼女は、永遠の御父との対話と「涙の霊性」という泣きながらの祈りと嘆願の毎日を送ったことで、非常にユニークな聖女だ。
彼女は、慈善家として大活躍し、多くの人に偉大な影響力をもった。
彼女に賛同し、彼女の活動を助けた人々は「カタリナの軍隊」と呼ばれた。

パードレと二人の同宿は外国から来て鉱山で指導者になるということと、「お父さん、エーン、エーン、ヒック、ヒック、お父さん、エーン、ヒック、ヒック」と泣いていることだけで、シストとカタリナとあだ名をつけ、「ピッタリだ」と言っているのだが、三人は、シストがこれから、日本中の鉱山を結ぶ地下教会をつくりあげ、指導すること、その助け手として、カタリナが慈善の行いをもって奇跡的ともいえる成果をあげることを今のところ知るよしもない。

武士達が出発を命令する。ルイスは、鉄の大鍋を背負い、シストとカタリナといっしょに歩き始める。パードレとパウロは、歩き始めた、他の高麗の捕虜たちにも、慈しみ深く、慰めを与えるために、一人、又、一人と次々に声をかけ、話をし、話を聞いていく。

1592年7月、有馬である。武士達は有馬のキリシタン大名、ドン・プロタジオ有馬晴信(はるのぶ)の家臣だったのだ。捕虜達の第一陣は、日本におけるイエズス会の本拠地の有馬に連れてこられ、キリシタンの農民たちの家に分散して住まわされた。シストとカタリナがルイスに連れられて一軒の農家に着いたところだ。海が近い。有明海だ。そして間近に迫る雲仙の高く大きな山体。こんな南の地、しかも海のすぐ側でありながら、山頂は冬になると雪をかぶる。

ここでも、また、夫はシスト、妻はカタリナとルイスから家人に紹介される。家の人たちが、二人の足を指さしている。二人のはだしの足は、足首から下が赤く大きく腫れあがっているのだ。頬はこけ、シストのひげは伸び、カタリナの髪はほつれている。7月といえば、もう暑い九州の道を、はだしで何日も歩きづめに歩いたのだ。

二人は家の人の表情と声の調子から、大変に同情してくれているとわかる。

ルイス
「マリアさまとヨゼフさまを預かったと思って、この二人の世話をしてくださいね。この二人にしてあげることは、イエズスさまにしてあげることになるのですから。神があなたたちに豊かに報いてくださいます。」

家の主人
「ルイスさま、安心してください。イエズスさまに仕えるように、この二人に仕えますから」

ルイス
「シスト、カタリナ、またくるからね。」

ルイスが去ろうとする。二人はそれを見てあわてて言う。

シスト
「ありがとう ルイス」

カタリナ
「ありがとう ルイス」

ルイスが去った後の何という心細さ。二人はまだ日本語がわからない。

カタリナ
「あなた、着いたのかしら、もう旅は終わったの。」

シスト
「そうみたいだね。」

カタリナ
「わたし、立っていられない。」

カタリナは、着いたと思ったら、疲れがふきだしはじめたのだ。足が棒のようにこわばっていたから、立っていられたのだが、今、しゃがもうとするとストンとおしりまでもついてしまい、それでも止められず横ざまに土の上に倒れてしまう。疲れで全身が痛む。もう立ち上がれない。

家の奥さん
「まあ、大変。なんてかわいそうなの。」

家の人たちのキリスト教的兄弟愛が爆発する、一斉に皆がカタリナに駆け寄り、抱き上げシストと共に家に連れて行く二人は親切の大洪水に沈められる。

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2008年5月9日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

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「33年」(4)あだ名

「33年」(4)あだ名
夫が、この人も偉い人だとみたルイスは、権威のある人のような顔と物腰だ。
しかし、そのルイスがさらにニコッと笑い、こう言う。

ルイス
「その鉄の大鍋を僕に渡せよ。もってやろう。
重いだろう、疲れているだろう。腹ペコだろう。」

こういいながら、もう鉄鍋を奪い取って背負ってしまった。
夫が、あまりのルイスの気さくさと親切にびっくりしていると、

ルイス
「この鉄鍋は、何の道具なんだい。料理のためかい。」


「これは、金や銀を鉱石から吹き分けるための、るつぼだよ。」

ルイスの示す親しさにのせられ、夫も親しい口調で答える。

ルイス
「えー!なんと、そんな技術を君は持っているのか。」


「僕は鉱山で働く精錬技術者なんだ。
ぼくが、すごい技術者っていうことじゃ決して無いよ。」

夫は謙遜に答える。しかし、祖国に対する誇りが疲れきった顔に輝きを与える。


「でも、高麗の精錬技術は、世界一なんです。
ぼくは、それを日本人に教えるために連れてこられたんだ。」

高麗の精錬技術が、世界一というのは本当だ。中国式より大規模、高能率の高麗式への切り替えにより、これからしばらく石見銀山は世界一の産銀量をほこることになる。それをぬいて次に世界一の産銀量をほこることになるのが院内銀山であり、彼の言葉は事実として証明される。

ルイス
「奥さんだね。その袋も僕によこしなさい。もってあげよう。」


「これは軽いからいいの。」

ルイス
「何が入っているの。」


「にんにく。お父さんが、これで長生きしてくれって、泣きながら手渡してくれたの・・・」

この話題は、まずかった。妻は、泣き声になった。可愛がってくれた大好きな父親を思い出し、十分に別れを惜しむいとまもない、別れに、苦しみ嘆いた父の姿を思い出したのだ。
一度泣きやんでいた妻がもう一度泣きだし、


「お父さん、えーん、ひっく、ひっく、お父さん、えーん、ひっく、ひっく」

と、しゃくりあげて、とまらない。パードレが妻の方を見、武士たちとの話を打ち切って、また、歩みより、妻をハグし、頬にキスし、頭をなでる。
でも今度はおさまらず、大きな声をあげて、


「お父さん、えーん、ひっく、ひっく。」

と繰り返しながら泣く、パードレにルイスが話しかける。

ルイス
「パードレ、この二人は鉱山の技術者で、この鉄の大鍋は、金や銀を精錬する道具だそうです。世界一の高麗の技術を指導するために連れてこられたそうですよ。」

パードレは、うなずき、目をみひらいて、驚いたという表情をつくる。
パードレは、とても目立つ、この若い夫婦が気に入ってしまった。
そして、早く親しくなろうと茶目っ気をだす。

パードレ
「鉱山の指導者になるのですね。二人に、あだ名をつけましょう。
鉱山は、カタコンブのような長い沢山の地下道があるでしょう。
そこで指導者になるから、この人のあだ名は、シスト。
それから、『お父さん、お父さん』と涙をずっと流しつづけているので、あなたのあだ名は、カタリナ。お父さんが子どもに名前を付けるように、あなたたちに名前をプレゼントしましたよ。」

ルイスとパウロ
「そりゃーいい、ぴったりだから絶対憶えられる。」

二人の同宿はパードレのユーモアに大喜びして賛成する。

ルイス
「もう、その名前でさっそく呼んじゃえ。な、シスト。ね、カタリナ。」

夫婦には、今は訳がわからない。あだ名でこれから呼ばれるとだけしかわかっていない。しかし、この二人のあだ名は、まさに予言的にこれからの二人の活躍を暗示するものになる。「パードレは天からのインスピレーションでこの名を思いつき、二人につけた」としか言えないほどだ。

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2008年5月6日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

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「33年」(3)日本に到着 パードレたちとの出会い

「33年」(3)日本に到着 パードレたちとの出会い
それから何日もたっている。
「陸だぞ」という大きな声がして、船の日本人たちが皆一斉に甲板に出て行く。
彼らの喜ぶ顔。夫婦は、すぐに理解する。日本にもうじき着くと。
妻の顔が青くなる。死刑囚が、処刑台を見たように。


「私、この海に飛び込んで死にたい。」

明日に何の希望も持てないので絶望に囚われているのだ。苦しみの発作だ。


「おまえ。それじゃあ敗北だよ。僕たちは、国は負けたけど、僕たちは魂の戦いでは負けていないんだよ。
これからどんな戦いになるのか、全くわからないけど、僕たちは魂の戦いでは勝つんだよ。」

希望の光は何も無いことに変わりは無いが、妻は夫の頼もしさを感じる。

捕虜たちは船を下りたところだ。
夫婦は異常に目立つ。夫が背負っている鉄の大鍋がその原因の一つ。
それから妻が、他の誰よりも泣いているのが、もう一つの原因だ。

戦利品としての捕虜の第一陣。港中、そして町中の日本人が集まって人垣をつくる。大騒ぎをしながら、指差して、喋っている。
好奇の目、遠慮の無い目。妻は、見世物になる苦しみを生まれてはじめて経験する。
哀れで、惨めな動物になったようだ。惨めだとおもうと、涙が止まらなくなってしまい、エンエンと声まで上げて泣いてしまう。
とうとうしゃくりあげ始めた。

その時、一人のパードレと二人の同宿が、この一番目立つ夫婦に近づいてきた。

パードレ
「おお、かわいそうな子よ」

夫婦は今、三人に気づき、ハット顔を向ける。パードレは、妻の方へさらに近づき、ギュツとハッグする。そして涙にぬれたほっぺにキスをして慰めるためにやさしく頭をなでる。いつくしみにあふれるパードレの顔を妻はびっくりして涙をゴシゴシふいて見る。
西洋人をはじめてみた驚きと、やさしく慰めてもらった驚きだ。

武士たちが、武士の頭までもが飛んできて、パードレの前にひざまづき、頭をたれ、祝福の十字と按手をうける。武士達は、大変な尊敬と感謝をパードレに示す。それをまじかに見る夫婦は、また、びっくりしている。

絶望のくらやみにいた妻には、希望の光が差し込んだようだ。泣き止んだ。


「この人、お坊さんかしら。」


「この人はとっても偉い人にちがいないね。」


「なんでこんな私達に優しくしてくれるの。」


「話が聞きたいね。僕は、この人の話がとても聞きたくなったよ」

パードレと武士たちの会話が続く。二人の同宿が夫婦の方を見る。
一人の同宿は夫に微笑みながら目をのぞく。
武士達が、この同宿にも大いに尊敬をあらわしていたのを夫は見ていた。
彼は自分の胸をさして「ルイス」と言い、もう一人の同宿の肩に手を置いて「パウロ」と言う。

ルイス
「パウロ 通訳を頼む」

パウロ
「彼はルイスで、僕はパウロだ」

夫婦は高麗の言葉がパウロの口から出てびっくりする。パウロが微笑んで言う。

パウロ
「ぼくは、日本生まれの高麗人だよ、通訳するからね」

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2008年4月28日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

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「33年」(2)月岳山から釜山まで

「33年」(2)月岳山から釜山まで
月岳山から釜山まで、こうして歩かされる、何日も。
疲労のきわみ。重い体。重い心。重い鉄の鍋。
夫婦は、飢えでよろよろする子たち、もう衰弱して動けない子たちを見て泣く。
侵略者の武士たちから、食べものをわたされる、はずかしさ。
生き残って、飢えている人たちの目が集まっている中で・・・・。

テーマ曲が終わる。

釜山だ。戦利品としての捕りょの第一陣として船にのせられる。
捕りょ達で満杯の船。祖国の見納めだ。この夫婦にとっても。皆にとっても。
船が動きだすと泣き叫ぶ声。
「お父さん。お母さん。」という絶叫もあちこちからあがる。
夫婦も泣き叫んでいる。妻は、嗚咽しながら泣き、突っ伏して顔もあげられない。
陸も島も見えなくなり、まだ突っ伏している妻をだきかかえて、たたせる夫。

夫  
「おまえ、ぼくたちは、村に残ることもできた。これは自分たちで選んだんだよ。
僕は親方に代わってあげたかったんだ。代わってあげたいという心の声に従うか、村に残るかは選ぶことができた。そして僕は心の声に従う方を選んだんだよ。
自由に選んだんだよ。おまえ悔やんでいるのかい。」 

妻は、首を横にふる。

妻  
「あなた。あなたを信じている。あなたにどこまでもついていきたいの。
私、自分の村、自分の国を離れるのがこんなにつらいなんて知らなかった。」

祖国を離れてはじめて祖国愛を自分の中に発見したのが、この愛は、一日一日と二人の中で強まることになる。

夫  
「どこに行ったって、どんなことがあったって、この国を決して忘れない。
僕はこの国を愛している。」

また、泣きだした妻を、夫は胸にだきよせ、自分の胸で思う存分泣かせる。

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2008年4月25日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

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「33年」(1)忠州湖の光る水面

「33年」(1)忠州湖の光る水面
忠州湖の光る水面。長く伸びる岬が見える。
月岳山が見える。
麓に村がある。
今は1592年の6月。
村中の人々が、広場に集まっている。
月岳山の鉱山役人と通訳者、そして日本の武士の一団が来ている。
何のために来たのか。皆、心配と恐怖で凍りついたようになっている。
精錬の仕事の親方の名が呼ばれる。
日本に連行されるのだ。

ナレーション
「豊臣秀吉は、領土欲のけだものだけではなかった。金、銀への執着の化け物でもあった。この大悪魔は、先進精錬技術の技術者を求めた。」

親方の家族たちがすがり付いて泣き叫び始めた。
すぐ横に、若い夫婦が立っている。子どもはいないようだ。
十代半ばの妻の目から、たちまち同情の涙が次々にこぼれおちる。
二十歳を少しこえたくらいの若い夫は、目をつぶって何かを真剣に考え始めた。
ぱっと目をあけ、顔に決意をみなぎらせる。


「僕が親方の身代わりになって日本に行く」

大きな声がはっきりとひびく。
妻はびっくりして夫の顔を見つめる。目も口も大きく開けて。


「僕たちにはまだ子どもがいないよ。おまえ。」

この一言で妻は夫の考えを理解した。


「うん」

通訳がこれを武士達に伝えた。
鉱山役人が、彼は親方に劣らない優秀な技術者だと保証する。
武士達が相談する。結論は早く出た。技術が確かなら、若い方がいいのだ。今後、長く働けるし、日本語を直ぐに覚えられるだろうから。

武士の頭
「おまえ達だ。すぐに支度しろ。」

通訳が若い夫婦にこれを伝えた。


「おまえ、ついてきてくれるかい」


「うん。わたし、あなたを信じている。」

単純に自分を信じてくれる妻に、心から夫は言う。


「ありがとう」

武士達が待っているので夫が大急ぎで仕事場に行き、たった一つ取ってきたのは鉄の鍋。灰吹き法の「るつぼ」だ。
武士達は、若夫婦が途中で逃げ出さないように、腰に綱を結わえ付けた。
二人の顔は、真っ赤になる。何というはずかしめ。
犬のように歩かされて、生まれ育った村を村人全員の目の前で連れ出されるとは。
夫は歯をくいしばり、妻の目からは、又、涙が落ちる。

テーマ曲が流れはじめる。

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2008年4月23日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

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寺沢の韓国人殉教者夫妻シストとカタリナの物語!

寺沢の韓国人殉教者夫妻シストとカタリナの物語!
400年の時を経て 今 明かされたシストとカタリナの33年の闘いの真実 !

祖国韓国の救いの為に、命を捧げた二人。その直系の子孫に託された希望… 今、寺沢で続く聖母出現 ! 先祖シストとカタリナと 祖国韓国への愛を込めて渾身の力を込めて書いたシナリオ !

寺沢の韓国人殉教者夫妻 シストとカタリナの 物語!

http://lphakobune.web.fc2.com/33nen_index.html


今、現役の教皇様は3人います。

今、現役の教皇様は3人います。
神秘的眠りについたヨハネ・パウロ2世、ベネディクト16世、リトル・ペトロ・アブラハム2世(リトル・ペブル)です。

http://homepage1.nifty.com/charbeljapan/lpl050406.htm


反キリストの名前はロード・マイトレーヤです。

反キリストの名前はロード・マイトレーヤです。
彼はまもなく「再臨したメシア」として全世界にデビューします。

だまされてはいけません!

今は黙示録の時代の真っ只中です!

http://homepage1.nifty.com/charbeljapan/index.html


037反キリスト、ロード・マイトレイヤについての警告

037反キリスト、ロード・マイトレイヤについての警告
イエズス様からの警告 1989年3月19日

 世の人々に、まだ時のあるうちに……今!……悔い改めねばならないと伝えなさい。まもなく、全て暗闇となるからである! 真理のろうそくは消えて行く。「邪悪な者」の時が、もう間近なのだ! かわいい子らよ、あなた達はこのことを − 何度も言われてきた。あなた達は世が地獄に投げ込まれるのを見たいのか? 世界が血に染まり、火だるまになるのを見たいのか? 世が時計の針を戻し、(昔からの罪も)悔い改めなければ、このことは起きるのてある。そして特に、地上における「わたしの家」の息子と娘たちよ……あなた違も又、「わたしの家」の外にいる者たちよりももっと懲らしめられるであろう。あなた達は真埋を……生命を与えられているからである! あなたたちは、真理であり命である「我が御言葉」を与えられているが、その光を投げ捨て、ルシファーである闇にすり替えてしまったのだ! あなた達はルシファーをまん中に据えてしまった! あらゆる聖なるものを投げ捨ててしまった!
 聖ミカエルを……信仰の守護者である彼を投げ捨ててしまった! 彼を……今連れ戻しなさい! 御父が − あなた達のために、我が至聖なる御母マリアにお与えになった聖なるロザリオを祈りなさい! かわいい子らよ、このロザリオはあなた達の持つ武器の中で最大のものなのである! 言うまでもなく、この大いなる準秘蹟も、大勢の我々の聖職者によって脇へ押しやられている!

(注)「この世にとっての避雷針」である聖職者・修道者が、この世が罰せられる最大の原因となってしまいました。彼ら彼女らが、ルシフェルであるロード・マイトレイヤをカトリック教会に導き入れる役割を果たしてしまっています。


http://homepage1.nifty.com/charbeljapan/index.html


「リトル・ペブル同宿会」は、どんな大罪人でも受け入れます!

「リトル・ペブル同宿会」は、どんな大罪人でも受け入れます!
福音は罪人のためにある! 医者を必要とするのは病人である!

◆ 弱さ、悪さのゆえに、掟(おきて)を守れなくても、全くかまいません。

  何も知識がなくても、何も能力がなくても、全くかまいません。


(1) 唯一の真理はローマ・カトリックであることを受け入れて、他の教えを捨てること。

(2) 家族・親族・友人が何を言おうが、堂々と同宿服を着て歩き、リトル・ペブルさんへの支持と愛を表明すること。


  それをする決意があれば、洗礼を授け、同宿にします。

 どんな人もです。現役の売春婦も、やくざも、ギャングも、右翼も、暴走族も、ホモも、レズ、etc 現役のままです。子供も、年寄りも、日本人も、外国人も。字が読めなくても、ハンディキャッパーでも、重病人でも、精神障害者でも、アルコールや麻薬中毒者でも、みな受け入れます。


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037マリア様のバラ

037マリア様のバラ
 全ての人に、救われて天国に行くチャンスがあります。「あんな人、絶対に地獄に行くよ」とみなさんが思うような人でも、マリア様から見ると、みな死の時までチャンスがありつづけ、実際その時、マリア様によってきわどく救われる人が多いのです。

 人は誰一人、死の時まで、救われるか滅びるかは確実ではないのですが、マリア様を愛し、聞き従うことは救いの保証なのです。天はみなさんを救うために、イエズス様やマリア様の何十万通ものお手紙を皆さんに届けています。それを読み、受け入れること、これが「時の終り」という暗黒の時代において救いを得る最大の手段だからです。イエズス様やマリア様から、これほど多くのお手紙をいただくなんて、何というしあわせでしょうか。読まずに投げ捨てる人がほとんどですが、まだこの手紙は、ほんの一部の人に届いたにすぎません。

 すべての人に救われるチャンスがあり、天からの手紙を読むことが、このチャンスを最もよくつかませるなら、皆さんに愛があるのでしたら、どうかメッセージを隣人に伝え、ひろめてください。マリア様の郵便配達人になってください。

 みなさんは愛の使徒、愛の宣教者として召されています。


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今日の「あかね」と「やよい」♪

今日の「あかね」と「やよい」♪
まだ着陸していないよ♪

 マリアママ、ガブリエルちゃん、アンナリアちゃん、アレンドゥスちゃん、よろぴくね♪

着陸したら、みんなに知らせるよ〜♪

【 取材etcの連絡先 】
  〒012‐0106
  秋田県湯沢市三梨町字清水小屋14
  リトル・ペブルの「清水小屋」共同体
  ジャン・マリー杉浦洋 神父
  Father Jean-Marie of the Risen Son of God
  TEL/FAX: 0183−42−2762
  Eメール:charbeljapan@nifty.ne.jp
  URL : http://homepage1.nifty.com/charbeljapan/


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